大型で非常に強い台風14号(ナンマドル)は9月18日、九州に接近・上陸する見込みだ。
気象庁は同日午後、宮崎県に「大雨特別警報」を発出。「これまでに経験したことのないような大雨となっています」とした上で、「命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保しなければならない状況ですので、最大級の警戒をしてください」と強く呼びかけている。
また、5段階の警戒レベルのうち、直ちに命を守るために最善を尽くす必要のある「警戒レベル5」に相当する状況と発表している。
大雨特別警報とは?
「大雨特別警報」とは、そもそも何なのか?
気象庁は、その位置付けとして、避難指示に相当する気象状況の次元をはるかに超えるような現象をターゲットに発表するもの、としており、「数十年に一度の、これまでに経験したことのないような、重大な危険が差し迫った異常な状況」とも説明している。
この特別警報はいつ始まったのだろうか?
東日本大震災の苦い経験がきっかけ
実は、2011年の東日本大震災の苦い経験が、ひとつのきっかけだった。地震発生直後、気象庁は大津波警報を出していたが、住民の素早い避難につながらず、大勢の人が犠牲になった。
そのことから、災害の発生が著しく迫っているときに、警報よりもさらに危機感を伝えて避難を促すため、大雨、暴風、高潮、波浪、大雪、暴風雪の6種類の特別警報が、2013年8月から始まった。
大雨特別警報は、2017年7月の九州北部豪雨で福岡、大分、島根の3県に、2018年7月の西日本豪雨の際には九州と中国、近畿地方などの計11府県に発表されているケースなどがある。
防災に関する情報は、気象庁や国土交通省、各自治体などから、さまざまな形で出されている。ただ、情報が氾濫しすぎてわかりにくいという指摘もあった。
そこで、一般の人にもわかりやすく伝えようと、2019年5月から「警戒レベル」という新たな情報提供が始まった。
5段階の警戒レベル
「警戒レベル」とは、災害が迫っていることが直感的にわかるように、災害の危険度を5段階で示したものだ。
大雨特別警報は、この警戒レベル5に相当し、すでに災害が発生している可能性が極めて高い状態だ。
本来は、大雨特別警報が発表されてから避難すると手遅れになるため、警戒レベル4に当たる「避難指示」や「避難勧告」が各市町村から出されたときに、地域の避難場所など安全な場所に避難しておくことが重要だとされている。
避難できないまま警戒レベル5が出た場合は?
しかし、もしも避難できないまま警戒レベル5が出たときにはどうすればいいのだろうか?
夜間に避難すると、暗闇の中で水路に落ちたり、氾濫した川に流されたりするなど、かえって危険なことにもなりかねない。
そんなときにはどのような対応をしたらよいのだろうか。
仮に動けない場合であっても、室内でより安全な場所に移るために、以下のような方法が考えられる。
・もし、崖に面した家屋にいるならば、斜面の反対側の部屋に移ること。
・河川の近くの住宅にいる場合には、2階以上の部屋に移動しておくこと。
土砂崩れや河川の氾濫などで仮に建物に被害があっても、室内での少しの移動が「命を守る最善の行動」になりうるのだ。