※この記事には、人種差別の実態を報道するため、差別・中傷の表現が含まれています。
バスケットボール女子日本代表のオコエ桃仁花さんが9月7日、自身のTwitterなどで、人種差別の言葉が並ぶダイレクトメール(DM)の被害に遭っていることを明かした。
オコエさんはナイジェリア出身の父と日本人の母をもつ。富士通レッドウェーブ所属。2021年の東京五輪では日本代表として出場し、銀メダルを獲得している。
この日のツイートで、オコエさんは自身に送られてきたDMの写真を公開。オコエさんに対し、「黒人の癖にまじできもいね」などと侮蔑の言葉をぶつける内容だった。写真をシェアした投稿には、「もう心が麻痺するくらい、慣れたよ」とのコメントを添えた。
オコエさんは自身のInstagramのストーリーで、このDMに加え、「汚い!早くアフリカ帰れ」などと書かれた別のDMも公開した。その上で、人種差別のDMを送りつけられる被害に日々遭っていることを公表した理由について、次のように明かした。
「無視しろ、かまうな、相手にすんなよ。
でも私たちがこのようなDMが日常的によく、送られてくるのが現状です
これからの子供たちにそんな思いをしてほしくない。
自分のためではなく、これからの多国籍を持つ子供たちが同じ思いをしないために発信してます。」
DMをシェアしたオコエさんのツイートは、8日午前11時時点で1.3万回リツイートされ、人種差別に抗議する声が広がっている。
オコエさんは2020年6月にも、肌色の鉛筆や人種差別に抗議する写真をTwitterに投稿。見た目や肌の色で揶揄された過去を明かした兄瑠偉さんと連帯し、Twitterで自身の思いを明かしていた。
翌21年のハフポスト日本版のインタビューでも、当時の行動について「自分のためでなく、メッセージを望んでいる子供たちのため」だったと振り返っている。
八村塁・阿蓮両選手も過去に告白
海外にルーツのある人に対する差別や誹謗中傷は後を絶たない。
当事者として、日常的に受ける人種差別のDMやヘイトスピーチの書き込みの被害を告白する動きは、他のアスリートからも出ている。
NBAワシントン・ウィザーズの八村塁さんの弟で、現在群馬クレインサンダーズに所属する八村阿蓮さんは2021年5月、自身のインスタグラムに差別的な内容のDMが送られてきたことをTwitterで明かした。
DMには「死ね」「間違えて生まれてきた」など、八村兄弟を中傷する言葉が書かれていた。
阿蓮さんはTwitterで、DMを公開した意図について、次のようにつづっていた。
「日本には人種差別が無いと言ってる人がいるけどこうやって人種差別発言をする人がいます。晒してどうにかなる問題では無いと思いますが、皆さんに今一度人種差別の問題について関心を持っていただきたいと思いました」
一方、この阿蓮さんの投稿に返信する形で、兄の塁さんは「こんなの、毎日のようにくるよ」とツイート。人種差別や中傷にさらされている経験を告白していた。
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