トルコ北西部で8月上旬、幻覚作用があるとされるハチミツを大量に食べたとみられるメスの子グマが、ぐったりと横たわり気絶している状態で発見される出来事があった。
現地で撮影された映像には、ぐでんぐでんに酔っ払っているかのような子グマが、トラックの荷台に座り込む姿が写っている。
子グマは車の縁に寄りかかるようにして腰掛け、呆然とした表情を見せる。何度も息を大きく吸っては吐き、時折口の周りをペロペロと舐めている。
お腹を丸出しにしてぼーっとする姿は、なんだか人間くさくもある。
子グマが過剰に摂取したとみられているのは「マッドハニー」と呼ばれるハチミツ。シャクナゲの花から採れるハチミツの一種で、幻覚作用があるとされる。
英紙ガーディアンによると、小さじ一杯のスプーンをそのまま舐めたり、湯や温めた牛乳に入れて飲んだりするだけで、軽い幻覚や陶酔状態を引き起こすという。
過剰に摂取すると、血圧が危険なレベルまで低下したり、吐き気、失神、発作といった症状を招いたりすることもある。最悪の場合には死に至ることもあるという。トルコでは、年に数十人がマッドハニー中毒で入院している。
厚労省のサイトによると、諸外国ではシャクナゲ類の花のハチミツによる中毒例は各地であり、トルコ黒海沿岸のツツジ属のハチミツによるものと報告されているという。シャクナゲ類の生育地は、国内でも北海道から九州まで広い範囲にわたる。
酩酊状態だった子グマは動物病院で治療を受け、状態は良好のようだ。近日中に野生に戻される可能性が高いという。
思わぬ映像で一躍有名になった子グマ。トルコの農林省は、このクマの名前をTwitterで募集し、「BALKIZ」と名付けられた。