安倍晋三元首相(67)が7月8日、奈良市内で演説中に銃で撃たれ、搬送先の病院で死亡が確認された。NHKが報じた。
首相の連続在職日数は2822日、通算在職日数は3188日で、ともに憲政史上最長となり、国政を牽引してきた安倍氏。
発言や政策から、その歩みを振り返る。
政治一家に育つ
安倍氏は1954年生まれ。祖父は第56、57代首相を務めた岸信介氏、大叔父は第61〜63代首相を務めた佐藤栄作氏。
衆院山口4区選出の当選10回。成蹊大学卒業後、神戸製鋼所に入社。父・安倍晋太郎元外相の秘書を経て、93年に衆議院初当選。
自民党幹事長、官房長官などを歴任し、2006年に首相に就任。第90、96、97、98代の首相を務めた。
経済成長に尽力
「美しい国」
2006年の第1次内閣では、憲法改正や教育改革などに取り組む方針を示し、戦後生まれとしては初めてとなる内閣総理大臣に就任した。
小泉構造改革を引継ぎ加速させる方針を示し、国家像として「美しい国」を提示した。
2007年の参院選で惨敗。その後、健康問題を理由に退任した。
アベノミクスを推進
安倍氏は第2次政権の約7年8カ月の間、金融緩和と財政出動と成長戦略の3本の矢からなる経済政策「アベノミクス」を推進。円安・株高が進んだ。14年と19年には消費税率を引き上げた。
五輪招致、「アンダーコントロール」発言
13年には、20年東京五輪・パラリンピック(開催は21年)の誘致で、懸念されていた東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題について「アンダーコントロール(管理下にある)」と発言し、波紋を呼んだ。
特定秘密保護法、安保法制など成立
日本の安全保障に関する、特に秘匿することが必要であるものを「特定秘密」に指定し、漏えいした場合の罰則などを定めた「特定秘密保護法」、集団的自衛権の一部行使を可能とした「安全保障法制」、犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」法などを成立させ、世論を二分することもあった。
モリカケ・桜で権力の私物化批判も
また、安倍氏や妻・昭恵氏の関与が追及された「森友・加計」学園問題のほか、国の予算を使って毎春開催していた「桜を見る会」の問題を巡っては「権力の私物化」と指摘された。