安倍晋三元首相が7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中に背後から撃たれ、救急搬送された。
NHKなどによると、発砲したとみられる男が殺人未遂容疑で逮捕された。
演説中の政治家が撃たれるという言語道断の事件に衝撃が広がっている。
事件後、松野博一官房長官は「いかなる理由であれ今回のような蛮行は許されない、断固非難する」とコメントした。与野党問わず、「暴力は許されない」「暴力で言論の自由を封じることはあってはならないこと」などと非難する声があがっている。
過去にも政治家に対する銃などによる襲撃事件が起きている(いずれも肩書きは当時)。
首相や政党の幹部らが襲われた戦後の事件では、安倍元首相の祖父・岸信介首相が1960年7月、首相官邸で右翼活動家に刺され、重傷を負った。
同じ年の10月には、社会党の浅沼稲次郎委員長が当時17歳の少年に刺殺された。
1990年1月には、長崎市の本島等市長が右翼団体の構成員に市役所前で拳銃で撃たれ、重傷を負った。事件を契機に、暴力によって言論の自由を封殺しようとする動きに反対の声が広がった。
同じ年の10月には、丹羽兵助衆院議員が陸上自衛隊駐屯地の記念行事で刺されて死亡した。
1992年3月には、金丸信・自民党副総裁が栃木県足利市の演説中に右翼団体の構成員に拳銃で撃たれた。当時、金丸氏にけがはなかった。
1996年10月には、岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長が自宅で襲われ重傷を負った。
2002年10月には、民主党の石井紘基衆院議員が、右翼団体代表に自宅前で刺され死亡した。
2006年8月には、自民党の加藤紘一衆院議員の実家と事務所が放火され、全焼となる事件が起きた。
2007年4月には長崎市の伊藤一長市長が選挙の遊説後に暴力団組員に撃たれ死亡した。