人気漫画『遊☆戯☆王』の作者、高橋和希(本名:一雅)さんが亡くなったとNHKなどが報じた。60歳だった。沖縄県名護市の沖合で、スノーケリングの器具を装着して浮いている状態で見つかったという。
突然の訃報に、アニメの声優陣や漫画家から追悼の言葉が寄せられている。
アニメ『遊☆戯☆王』第1作目(1998年)で主人公・武藤遊戯役を務めた声優の緒方恵美さんは自身のツイッターで「最初に私を推挙して下さったのは先生と伺いました。2クール目に入った頃から視聴率が急上昇、同時にカードが爆発的に売れ始め、劇場版が決まり…チームワークが良かったキャストみんなでいろいろ乗り越えた思い出の作品ーー 感謝を捧げます、高橋先生。心よりご冥福をお祈り申し上げます」とつづった。
アニメ第2作目の『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』で、主人公・武藤遊戯のライバルである海馬瀬人役を演じた津田健次郎さんは、海馬が切り札として使う「青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)」のカードを指で掲げる写真をツイッターで投稿。
言葉こそなかったが、ファンからは「これ以上無い追悼です。。」「泣いた」といったコメントが寄せられていた。
『はじめの一歩』で知られる漫画家の森川ジョージさんは、次のようにエピソードをつづった。
「『高橋和希』は自分にとっては『高橋かずお』なんだ。 デビューが近く、担当も同じだったからかなり仲良くさせてもらっていた。 麻雀仲間でもあった。
新人時代から画力は飛び抜けていて、でも少し求道精神に欠けていた。 売れることにそれほど執着はなかったよ。お互い売れずにいたある日『ジャンプで小遣い稼いでくるわ』とボソッと言ったんだ。華やかな画面はジャンプ向きかと思いはしたけど反面(半面)、簡単ではないことはよくわかっていた。案の定『うまく行かねえわ』とボヤキを聞いたこともあった。
僕がはじめの一歩に出会って少し忙しくなったころ、高橋さんも遊戯王に出会っていた。 電話があり相談に乗ってくれと、 『会社にした方がいいのかな?ジョージそういうの詳しいだろ?』
年収を聞いて息を呑んだよ。 小遣いどころじゃないんだよね。 売れたよ、やったよという素振りは微塵も見せなかった。 心底かっこいい男だな、と思ったよね。
何年か前かの『また麻雀やろうな』という去り際の言葉が最後に聞いたセリフになってしまった。漫画についての会話はほぼしたことなかったな。ラスベガスの思い出や海の中の景色のことを楽しそうに話していた。最後も麻雀か。あなたが遊戯王ですね。
まだ信じられなくてご冥福を祈る気分になれないのだけど、少しづつ(少しずつ)受け入れようと思う。 他人行儀の仲じゃないからとりあえずの挨拶をするよ。 じゃあね高橋さん」
『ワンパンマン』や『アイシールド21』の作画担当の漫画家・村田雄介さんは「いつかご挨拶を、と思ってたんですが、ついにお目にかかる事は叶わず、残念です。高橋先生、謹んでご冥福をお祈り致します」と悼んだ。