どこか愛らしい雰囲気を漂わせるミニトマトは、サラダの素材やピザの付け合わせなどとしてよく用いられるようになり、家庭菜園でも人気の野菜です。一年中出回っている印象ですが、実はミニトマトの「旬」は6~10月頃、なかでも暑すぎない時季がおいしいとされ、まさに梅雨どきの今頃が最適といえるようです。
真っ赤なミニトマトにワンポイントを添えてくれる緑色のヘタは、ちょっと気になる存在です。ウェザーニュースが「ミニトマトを保存するとき、ヘタはどうしてる?」というアンケートを行いました。
結果は「そのまま保存」が85%と多く、「取ってから保存」はわずか15%に留まりました。
ミニトマトのヘタは付けたまま保存するべきなのか、外すべきなのか。正解とその理由について、数多くの野菜や果物を生産している「糸満フルーツ園 けんちゃん」(沖縄県)の上原けんゆーさんに、詳しく解説して頂きました。
ヘタあり保存による悪影響とは?
ミニトマトのヘタは「付けたままで保存する」が圧倒的に多数派でしたが、どちらが正解なのでしょうか。
「結論から言うと、『ミニトマトはヘタを外してから保存する』が正解です。特に湿度や温度が上がるこれからの時期は、ヘタを付けたままで保存してはいけません。
ミニトマトのヘタを付けたままで保存すると、次のような悪影響が生じることがあります」(けんゆーさん)
(1)萎(しぼ)んで軽くなる
(2)呼吸が多くなる
(3)水分含有量が減る
(4)アスコルビン酸(ビタミンC)が減る
(5)カビが発生する
ヘタ付きでは最大64%にカビが発生
ヘタを外す理由について、科学的な根拠も示されているようです。
「2018年に開かれた園芸学会平成30年秋季大会で、『ミニトマトのへたの有無が貯蔵性に及ぼす影響』(髙橋賢人・相原 悟・元木 悟)という論文が発表されています。
論文の実証には、千果、ミニキャロル、アイコ、ロッソナポリタンという4種のミニトマトが使われました。
『ヘタあり』『ヘタなし』それぞれについて、重量減少率や呼吸量、水分含有量など、多くの計測を行って出された結果が示されていました。期間は7日間で、気温を25℃に設定した場合、先に上げた5つの悪影響が顕著に生じていました。
ロッソナポリタンの場合でみると、7日後の重量減少率[(%)z]は『ヘタあり』が3.2に対し『ヘタなし』が2.1と低く、呼吸量も『ヘタあり』に比べて『ヘタなし』の方が1割ほど低くなっています。
カビの発生率(%)に至っては、「ヘタあり」のロッソナポリタンが64.0、アイコが61.3、千果が17.3、ミニキャロルが12.0で、「ヘタなし」はすべて0.0という結果になりました。
ヘタを付けたままで7日間保存したミニトマトの12~64%にカビが生じたのに対し、ヘタを外したミニトマトにカビは発生しなかったということになります(各数値とも誤差あり)。
また、カビの原因となるトマトのヘタに存在する『真菌』の絶対数は、トマトの果実に比べて約4倍という海外の研究報告もあるそうです」(けんゆーさん)
けんゆーさんによると、ミニトマトはヘタが付いていることによって呼吸量が増え、それに伴い重量が落ち、水分含有量が減り、ビタミンが減るというサイクルになっているそうです。そして、保存環境によっては1週間も経つと、ものすごい量のカビが発生してしまうのです。
湿気の多い梅雨どきは、とくにカビが発生しやすくなります。食中毒予防と鮮度を保持するためにも、ミニトマトは持ち帰ったらすぐにヘタを外し、冷蔵庫で保存するようにしましょう。
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