ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して、6月3日で100日が経った。
現在もウクライナ東部を中心にロシアによる攻撃が続けられており、さらなる長期化が懸念されている。
そんな中、「イルカ」も長引く戦争の犠牲者かもしれないーーとの指摘が上がっている。
NewYorkTimesは、ウクライナの環境科学者イヴァン・ルセフ氏の話として、「戦争が始まって以来、数千頭のイルカが殺されている」との指摘を紹介。ウクライナのほか、ブルガリアやトルコの研究結果として、沿岸の餌場への爆弾投下や、沈没船からの油、弾薬に使われる化学物質で汚染された水の影響などのほか、船の騒音や強力なソナーシステムの使用が、音で移動するイルカの方向感覚を狂わせている可能性もある、と伝えている。
NBCは、トルコの大学で海洋生物の研究をしているウール・オズサンドゥクチ氏の話として、2022年2月以降、トルコの海岸に打ち上げられたイルカは100頭を超え、例年に比べ多いと伝えた。
ウクライナ内務大臣顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏は公式Twitterで、NBCの報道を元に「(ロシアが侵攻を開始した)2月24日の前より、黒海にイルカが大量に漂着している。また、異常な行動もとっている。黒海のロシア海軍による騒音が原因と思われる」と主張している。
トルコ海洋研究財団(TUDAV)は4月、「黒海における戦争と海洋環境への影響について」と題した声明を発表。「戦争によって、黒海の海の安全、食料、生物多様性、環境が危険にさらされている」と訴え、イルカについて「海洋汚染と並んで、船舶の騒音や低周波ソナーは、海洋生物、特に餌や航行のために水中音を積極的に利用するイルカにとって深刻な脅威であることが知られている」と指摘している。