テニスの4大大会の一つ、イギリスのウィンブルドン選手権の主催者が、ロシアとベラルーシの選手の出場を認めないと発表したことに対し、ノバク・ジョコビッチ選手らが決定を支持しないと述べるなど波紋が広がっている。
そんななか、ウクライナの選手のある訴えに注目が集まった。
ウィンブルドン選手権は6月27日〜7月10日に開かれる。
選手権を主催するAELTCは4月20日、「可能な限り強い方法で、ロシアの国際的な影響を制限するため」として、ウクライナへの侵攻を続けるロシアと、同盟国のベラルーシの選手について、出場を認めないと発表した。6月にかけて状況が大きく変化した場合には、検討して対応するとしている。
そんな中、ウクライナのエリナ・スビトリナ選手は4月21日にBBCのラジオ番組に出演。ロシア選手の出場を「完全に禁止するべきではない」と語った。
その一方で、両国の選手がウクライナへの侵攻とプーチン政権を非難する場合にはプレーすることが認められるべきだと述べた。
スビトリナ選手は20日に自身のTwitterで発表した声明の中で、2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以降の悲惨な状況を振り返り、たくさんの人たちが故郷を追われ、子どもたちが恐怖に直面していることに言及。
「これが今まさにヨーロッパの中心で起きていることです」と指摘した。
そして、WTA(女子テニス協会)とATP(男子プロテニス協会)、ITF(国際テニス連盟)に対し、ロシアとベラルーシの選手たちに以下の3つの質問に答えることを確認するよう求めた。
・あなたはロシアとベラルーシによるウクライナへの侵攻と、それによって戦争が始まったことを支持しますか。
・ウクライナでのロシアとベラルーシによる軍事行動を支援しますか。
・プーチン政権とルカシェンコ政権を支持しますか。
最後に両国の選手に向けて「沈黙が裏切りとなる時が来ました、それは今です」と記した。
スビトリナ選手はWTAのランキングで25位。2017年には3位に入ったことのあるウクライナのトッププレイヤー。これまでもSNSやインタビューを通して自国の支援を表明してきた。
3月にメキシコで開かれたアビエルト・GNPセグロスでは黄色と青色のウクライナカラーのウェアで出場。試合後のインタビューでは「ウクライナを支援することが私の使命」と語っていた。
ウィンブルドン選手権の方針に対しては、男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)が「支持できない。クレイジーだ」と反発。「選手たちはまったく関係ない。政治がスポーツに干渉するとき、結果は良いものにはならない」と述べていた。