『世界最強のパスポート』2022年は「戦争で取り返しのつかない影響」。ウクライナとロシアの順位が変動

2022年の最新ランキング(第2四半期)が4月に更新。ウクライナが順位を上げた一方で、ロシアは順位を下げた。
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ロシアのパスポート(左)とウクライナのパスポート(右)のイメージ画像
Getty Images

毎年発表されている「世界最強のパスポート」ランキングにも、ロシアによるウクライナ侵攻の影響が出ている。

2022年の最新ランキング(第2四半期)が4月に更新され、ウクライナとロシアの順位がそれぞれ変動。「戦争による、深刻で取り返しのつかないであろう多大な影響」と報告されている。

このランキングは、イギリスの調査会社が毎年、国際航空運送協会(IATA)のデータを基に発表。各国・地域のパスポートについて、事前にビザを取得せずに渡航できる国・地域の数を比較している。

最新ランキングで、ウクライナは34位(事前にビザを取得せずに渡航できる国・地域143カ国)、ロシアは49位(同117カ国)だった。 

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『世界最強のパスポート』ランキング 2022年最新版
Henley & Partners

CNNによると、ウクライナ侵攻前に発表された2022年1月のランキングから、ウクライナが1つ順位を上げた一方で、ロシアは4つ順位を下げたという。 

調査会社のレポートは「ロシアによるウクライナ侵攻から6週間が経過し、旅行や移動の自由への影響は、戦争開始時にもっとも悲観的だった専門家が予想していたものよりも劇的なものとなった」と報告。

この順位変動や最新結果について「新たな鉄のカーテンが降ろされたため、戦争による深刻で取り返しのつかないであろう、当該地域における移動の自由に対する影響を明確に表している」と指摘した。

ロシアへの対抗措置として、EUやアメリカなどが、ロシアの政府高官や経済人に対する渡航禁止やビザ発行を取りやめていると説明。「ロシアのパスポートを価値のないものに追いやっている」と述べた。

一方、ウクライナに対する緊急的な受け入れ策にも言及。ウクライナ人に対して、EUの27カ国が3年間の居住や働くことを認めたり、その他の多くの西欧諸国がビザ取得要件を撤廃したりしているという。

ウクライナは、事前ビザなしで渡航できる国・地域の数が143カ国となり、「過去最高になった」と報告。縮小傾向にあるロシアと比べて「戦争により今後の数カ月で、ギャップはますます広がるだろう」と見られている。

調査会社のトップは 「ロシアのパスポートの価値が急速に下がっており、世界はウクライナに対してドアを開いている。どのパスポートを持っているかがその人の運命を決め、得られる機会に大きな影響を与えるのは明らかだ」とコメント

「新たな『冷戦』の影で世界がどんな様相になるのか予測がつかないが、最新の指標が、ロシアと多くの西欧世界の分断が進むだけであることを示している」と見解を示した。