「気候変動は個人の努力だけで解決する問題ではありません。国として動かしていくべき課題です。気候変動の影響をより受ける将来世代の声を、もっと政策に反映してほしい」
そう話すのは、日本版気候若者会議の運営メンバー・室橋祐貴さん。
およそ10の若者団体が運営に関わり、高校生や大学生を含む約100人の若者が参加する日本版気候若者会議は、政府や主要政党、経済団体などに行う政策提言についてのパブリックコメントを募集している。
若い世代が集まって考えた提言案だからこそ、「パブリックコメントで若者以外の人の意見も聞きたい」と語る室橋さんに話を聞いた。
「日本版気候若者会議2022」とは?
日本版気候若者会議は、「気候正義と⾃然環境保全が実現され、ひとりひとりの基本的⼈権と幸せが実現する社会」を理想像に掲げ、若者たちが気候危機について話す場を提供している。
これまで主要政党や環境省、経済産業省、自然エネルギー庁、経団連などと意見交換を重ね、若い世代の声を政策に反映してほしいと訴えてきた。
室橋さんは、現在の気候変動に関する政策・議論での課題感を「気候正義」という言葉を使って説明する。
「特に気候変動の分野では、審議会に若者はいないですし、政策にまだまだ若者の声は反映されていないと感じています。気候変動は、影響を受ける人たちが若い世代なのに対して政策などの意思決定者は上の世代。そこに大きな意識の差があります。
また、国家間の不正義も課題だと思います。気候変動の影響を最も受けるのは、途上国の人たち。日本でももっと“気候正義”について考えるべきだと思います」
昨年8月には、70項目におよぶ政策を盛り込んだ提言を主要政党に提出。
2回目となる今年の「日本版気候若者会議」には、82人の若者が参加。このうち3割は高校生だという。
「若い世代は政治に関心がないわけではありません。関心があるけれど、話せる場所が少ないだけ」と室橋さんは語る。
さらに、今回の提言案では、5つのテーマの1つに「国際人権」を入れた。途上国のエネルギー供給の不安定さをどう解消するか、サプライチェーンでの人権問題に企業がどう取り組むべきか、などについても提言を盛り込んだ。「気候変動は人権問題でもある」という考えからだ。
①需要
②生活
③産業
④国際人権
⑤未来社会
「石炭に依存することは、気候変動だけではなく人権問題にも繋がります。もっと日本でも人権問題について取り組む必要があると思います」(室橋さん)
気候変動や人権問題といった、個人の努力だけでは解決できない問題について、政策提言という形でルールメイキングができる場所に声を届けている「日本版気候若者会議」。
今回の提言は、環境省などの政府、主要政党、経済団体などに提出する予定だ。
若い世代が集まって考えた提言案だからこそ、パブリックコメント募集では、「むしろ若者以外の人の声も聞きたい。また、パブリックコメント募集をすること自体が今の社会課題の周知にも繋がると思っている」という。
パブリックコメントはこちらから回答できる。(締切:4月17日(日)23時59分)。