小1の「初めての給食」はカレー、ネットで報告が相次ぐ。専門家が明かす3つの理由

約20年間、学校給食の献立作成に携わった実践女子大の山岸博美准教授は「初めての給食でも安心して楽しく食べられ、簡単な盛りつけで達成感も得られます」と理由を説明する
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「新1年生の初給食の献立はカレーライス説」が、ネット上で有力視されている。

今年4月に息子が小学校に入学したという女性が、Twitterで初給食がカレーだと投稿。

説は「本当ですか?」と呼びかけると、「うちの子もカレーだった」「ポークカレーとフルーツポンチです」「義務教育の最初の給食(小1)も最後の給食(中3)もカレーで感慨深かった」などと同様の報告が相次いでいる。

小学校に入学後、初めての給食でカレーが出るのは、どんな理由や背景があるのだろうか。ハフポスト日本版は専門家の見解を聞いた。

初めての給食、安心して楽しんで

約20年、管理栄養士として学校給食の献立を作成した経験のある実践女子大学の山岸博美准教授は、小1の最初の給食でカレーが出る理由を3つ挙げる。

1つ目は、クラスメイトになったばかりの同級生とともに時間内で食べ切らなければいけない初めての給食で、戸惑わずに安心して食事を楽しんでもらうためだ。

「比較的、家庭で食べ慣れているとみられるカレーを選ぶことで、初めての給食を楽しく食べ切ってもらうという狙いがあります。ワクワクしながら給食を体験してほしいので、見た目の彩りや香りなど、五感で『おいしそう』 と思ってもらえるメニューを選ぶことが多いです」

ほかにも、デザートをつけたり、苦手な子どもが多い野菜を避けたりする工夫もするという。

配膳や盛りつけも簡単に、「達成感」味わって

小1にとって、初めての給食は「食べる」だけではない。配膳や盛りつけも、初めて自分たちで行うことになる。そこで、初めてでも盛りつけが簡単にできるメニューにする。これが2つ目の理由だ。

「入学したての小1は配膳にも時間がかかってしまうので、ご飯にルーをかけるだけという簡単な盛りつけのカレーが選ばれやすいです。初めての給食が『とても大変だった』という感想になるより、『ぼく・私にも上手にできた』『友達のためにやった』という達成感を味わってもらいたいです」

他のメニューも、分量を見極めづらいものより、一切れのりんごやみかんなど個数で1人分がわかりやすいものを選ぶのがポイントだという。

配置換え直後の作り手側にも配慮

3つ目の理由は、給食を調理する側にとっても、作り慣れているメニューだからだという。

「4月はスタッフの配置換えや新人を迎え入れることも多く、複雑な献立を導入すると作業の負担が大きくなってしまいます。小1の分の給食が増える初日には、安定して調理できるよう、作り手側にも調理経験があることの多いカレーが有力な選択肢になります」

カレー以外の「初給食」も

「県内の家庭料理でした」「うちはマカロニグラタン」「ホワイトシチューとパン」など、初日の献立がカレー以外だったという声も上がっている。

山岸准教授が指摘する子どもにとっての食べやすさ、盛りつけのしやすさ、作り手の調理のしやすさといった要素は、こうしたメニューにもある程度、当てはまりそうだ。 

山岸准教授は「給食を食べ慣れていないと、『白いご飯とおかず』という組み合わせが苦手という児童も少なくありません。味付きのご飯を出したり、ふりかけを付けるなど、ご飯が進むような工夫をすることもあります」と話す。

「小学校の給食では保育所や幼稚園以上に、多くの食材やメニューに出合います。小1には、まずは楽しく給食を食べてもらい、学年が上がるごとに、『どういう食材の組み合わせがいいのだろう』『なぜ毎日、野菜が出るのだろう』などと考えて知識をつけ、健康な体と豊かな心を育んでいってもらいたいです」

「重大ニュースを告げるようなテンションで」

「金曜日から、給食が始まります。メニューはなんと、カレーです!」

「新1年生の初給食の献立はカレーライス説」をTwitterに投稿した女性は、「息子が入学した日、担任の教諭はまるで重大ニュースを告げるようなテンションで机を両手で叩いたり、声を次第に大きくしたりしながら、初めての給食の献立を発表していました」と振り返る。

教諭の発言の直後、児童たちは「わーい!」と歓声を上げていたという。女性は「息子の小学校の献立表によると『ポークカレー』が出るようです。息子は『早く給食食べたい』『給食はまだ?』と待ち遠しそうにしています」と話している。初めての給食は4月15日だそうだ。