「私はロシアの人々が大好きです
だから私はあなたたちに真実を言わなければなりません」
元カリフォルニア州知事で、俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーさんが3月17日、自身のTwitterで9分を超えるメッセージ動画を投稿し、プーチン大統領にウクライナへの侵攻をやめるよう強く訴えた。
そして、ロシア国内で抗議行動をしている市民たちを「世界はあなたたちの勇気を見ている」と称えた。
ロシア語と英語の字幕をつけた動画は18日現在、1620万回以上再生され、23万件以上リツイート、67万件以上の「いいね」がついている。
少年時代のヒーローだった重量挙げ選手
シュワルツェネッガーさんは動画の序盤で、自身とロシアの人たちとの関係を丁寧に振り返った。
まず触れたのは、少年時代の自身の「ヒーロー」だったという重量挙げの選手、ユーリ・ウラソフさんとの出会いだった。
当時14歳だったシュワルツェネッガーさんは、ウラソフさんが人類で初めて、200キログラムを持ち上げたという世界選手権を観戦。
その際、ウラソフさんが握手し、微笑んでくれたという出来事を振り返り、「決して忘れることはない」と述べた。
その後もロシアとの関係は深くなったとし、ボディービルや映画を通した交流を紹介。
1988年公開の映画「レッドブル」(原題:Red Heat)の撮影でモスクワ市内に赴き、「赤の広場」で撮影が許可された初めてのアメリカ映画だったことを振り返った。
その際、ウラソフさんに再会したことも明かした。プレゼントされたという美しい青色のコーヒーカップを手に、「毎朝、このカップでコーヒーを飲んでいる」と言って微笑んだ。
「世界はあなたたちの勇気を見てきた」
その後は、プーチン大統領やロシアの兵士たち、市民たちに向けてメッセージを送った。
「ロシアの人たちに愛着と尊敬を感じてきた」とし、「だからこそ、ウクライナでの戦争で何が起きているか、真実を伝えたい」と切り出した。
プーチン大統領がウクライナへ侵攻する理由として「非ナチ化」に言及している点に触れ、「それは真実ではない」と強調。
クレムリンにいる権力者たちがこの戦争を始めたとし、「これはロシアの人たちの戦争ではない」と語りかけた。
ウクライナでは爆撃で街が壊滅状態となり、小児科病院や産院も攻撃を受け、多くの人たちが避難していることなどについて振り返り、「これは人道的危機なのです」と言及した。
シュワルツェネッガーさんはオーストリア生まれ。第二次世界大戦で自身の父親がレニングラードで戦い、心身ともに傷つき、残りの人生を痛みと共に生きたことを明かした。
この動画を見ているロシアの兵士たちへ、「私の父のように壊されて欲しくない」と訴えた。
プーチン大統領に対しては、「あなたがこの戦争を始めた。あなたがこの戦争を指揮している。あなたがこの戦争を止めることができる」と訴えた。
そして、ロシア国内で、多くの市民たちが街頭に出て抗議行動をしていることにも思いを寄せた。
「世界はあなたたちの勇気を見てきた」と語りかけ、こうした抗議行動によって拘束されるなどしてきたことにも触れ、「あなたたちは私の新たなヒーローです」と述べた。