近江屋洋菓子店が平和の願いを込めたレシピで「ボルシチ」を作ってみたら、知らないことだらけだった

ボルシチに欠かせないビーツって何?作ってみて初めて知ることも。近江屋洋菓子店の「食という切り口から文化を知ることが、少しでも世界が平和になることにつながると思ってます」という言葉の重みを感じます。
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annabogush via Getty Images

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、日本でもロシア料理店に対するネット上での嫌がらせや、匿名での中傷書き込みが相次いでいることを受け、東京都千代田区の老舗洋菓子店「近江屋洋菓子店」( @omiyayogashiten )がインスタグラムなどで、ボルシチのレシピを公開しました。

ウクライナ発祥でロシアでも親しまれている伝統料理。

近江屋洋菓子店はレシピの公開について「その国の食事を作り食べることは、文化を知る入り口になると思ったことがきっかけです。食という切り口から文化を知り、少しでも世界が平和になってほしいと願いを込めました」と話しており、強く共感しました。

またロシアのウクライナ侵攻にいろんな思いを抱きながら、レシピの取材をした日、「ウクライナやロシアのこと、あまり知らないな」と気付きました。

ボルシチ、作ってみよう。そう思いました。

 

◆近江屋洋菓子店、ボルシチの作り方

レシピは以下の通り。お店で提供していたものと全く同じメニューといいます。

〈材料〉

水 400cc

牛肉 150g

ニンジン 30g

キャベツ 50g

トマト 100g

生ビーツ 150g(缶詰でも代用可)

塩 5g

コンソメ 3g

 

〈作り方〉

1.ニンジンとビーツの皮を剥きます

2.ニンジンを輪切りにビーツをいちょう切りに、キャベツをざく切りに、トマトを乱切りにします

3.牛肉をサイコロ状にカットします(カレー用の牛肉を買うと楽です)

4.鍋に水を入れ火にかけて、沸騰した鍋に牛肉を入れ再度沸騰させ、アクをとります

5.カットした野菜を全て鍋に入れ再度沸騰させます

6.沸騰したら塩とコンソメを入れ、弱火にして10分ほど煮込んだら完成です

YouTubeには作り方をわかりやすく解説した動画が投稿されています。

 

◆「ビーツって何?」文化を知る機会に。

ボルシチを作ってみようとレシピを見ていると、恥ずかしながら、ふと思うことがありました。

「ビーツってなんだっけ。聞き覚えがあるけど、すぐに出てこない…」

調べてみると、ビーツは鮮やかな赤色が特徴の野菜。日本料理にはそれほど多く使われる野菜ではないそうですが、ボルシチには欠かせないといいます。

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Dorling Kindersley: Mark Winwood via Getty Images

 

近江屋洋菓子店にレシピのポイントを尋ねたところ、「可能であれば、ボルシチの要である「ビーツ」は生のものを使ってみてください。香りと味が段違いになります。入手が難しいようでしたら、比較的手に入りやすい缶詰でも、とても美味しく作れます」とのこと。

近所のスーパーに行き、探してみましたが見つかりません。

店員さんに聞くと、「ビーツ?ビーツってなんですか…?」。

店員さんの気持ちに恥ずかしながら共感し、画像を出して説明すると、「すみません、うちでは取り扱っていません…」と教えてくれました。

近所のスーパー2店では見つからず、インターネットで調べたところ、「カルディ」で缶詰が売っているとの情報が。

 

ありました。

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「ビーツ」の缶詰
ハフポスト日本版

店員さんは、「ボルシチを作りたいというお客様が買いにきます。日本料理ではあまり使われないので、カルディに来てくれる方が多いみたいです」と教えてくれました。

 

できれば生のビーツで作りたかったのですが、今回は缶詰で挑戦してみます。

レシピ通り野菜を切り、牛肉を煮込みます。

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まずはじっくりと煮込みます
ハフポスト日本版

 

 野菜を入れると、それっぽい色になってきました。

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野菜や牛肉を煮込みます
ハフポスト日本版

 

コンソメや塩を入れ、10分煮立たせると、完成です。

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完成したボルシチ
ハフポスト日本版

 

近江屋洋菓子店の動画のものよりも色が薄い気もしますが、野菜が中心となった優しい香りで食欲をそそられます。

美味しい。マイルドな味だからこそ、牛肉のガツンとした旨味がアクセントになっています。

 

ビーツの香りや味、入手が少し難しいこと…。

今回、ボルシチを作る中で、初めて知ったことがたくさんありました。

 

料理を作ることがすぐに平和につながるわけではないかもしれません。

ですが取材で、近江屋洋菓子店の担当者が話していた言葉を思い出しました。

「食という切り口から文化を知ることが、少しでも世界が平和になることにつながると思っています」

食を通して、ウクライナやロシアの生活を少しですが知ることができて、作ってよかったなあと噛み締めました。

 

〈取材・執筆=ハフポスト日本版・佐藤雄(@takeruc10)〉