安倍晋三元首相肝いりの新型コロナ対策だった「アベノマスク」。政府は在庫のマスク約8000万枚を今後配布する方針だが、その配送料が物議を醸している。
一部の報道機関が配送料が「10億円に上るとの試算がある」と報じたことを受け、立憲民主党の議員が2月3日、衆議院予算委員会で厚生労働大臣に説明を求めた。どのような内容だったのか。マスクに関する経緯を含めてまとめた。
そもそもどれくらいの需要があるのか
アベノマスクをめぐっては、在庫が約8000万枚ある。政府はこれまで希望する介護施設等への配布を行なってきたが、自治体や個人にも追加で配布する方針を示し、2021年12月24日から2022年1月28日まで募集していた。
厚生労働省は自治体及び個人からの申し込みが約37万件あったと発表していた。また、配布希望枚数の申し出は2億8千万枚だったという。
10億円と6000万。税金の使われ方に国民も疑問
マスクに一定の需要はある。だが、問題が指摘されているのは、その配送料などに関することだ。
西日本新聞は2月2日、政府関係者への取材で「配送料が10億円に上るとの試算がある」と報道。一方、配布せずマスクを全て廃棄した場合には6000万円程度の費用で済むとも報じた。
10億円と6000万円。金額には大きな差がある。これについてTwitterでは「税金が使われるのだから10億円はかけ過ぎ」「なぜ税金がより掛からない方を選択しないのか」「看過できない」「これは(安倍政権の)後処理では」などと批判や疑問の声が相次いで寄せられた。
厚生労働大臣の説明は...
2月3日に開かれた衆議院予算委員会では、立憲民主党の中島克仁氏がこの問題について質問した。
中島氏は「希望者に配送料が10億円(との報道)、事実確認をさせてください」と質問すると、厚生労働大臣の後藤茂之氏は次のように回答した。
「現時点でお示しすることは困難で、10億円とは今の段階で考えておりません」
今後は約1か月程度で配布枚数などを精査した上で、その結果や配布の仕方を公表する予定で、3月上旬を目途に配送を順次開始する見込みだという。