「小学校休業等対応助成金」とは?個人の申請方法は?新型コロナの休校で保護者を休ませた事業主に支援金

どんな制度?事業主が申請してくれない時の相談窓口は?保護者を支援するための制度をまとめました。
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小学校休業等対応助成金の仕組み
ハフポスト日本版

新型コロナウイルスの感染拡大で保育園や小学校が休校。子どもの世話をするために仕事を休まざるを得ないーー。

新型コロナの感染の再拡大にともない、SNS上では「子ども休校。詰んだ」「休校で有給使っちゃった…」など働く親たちの悲痛な声が相次いでいる。

そんな親たちを支援するための国の制度が、「小学校休業等対応助成金」だ。保育園や小学校などが休校となり、保護者も仕事を休む必要がある場合、その事業主が助成金の対象となるというもの。これまでの経緯や仕組みについて、働く個人もきちんと抑えておきたい。

「小学校休業等対応助成金」をめぐる経緯は?

「小学校休業等対応助成金」は2020年春、当時の安倍晋三首相の要請で始まった全国一斉休校を機に導入された制度。当初は事業主だけが申請を認められていたが、保護者らの声を受け、個人申請も可能になっていた。

その後、臨時休校が減ったことなどから、2021年3月末に打ち切られた。保護者の支援を目的とする制度は2021年4月以降、「両立支援等助成金」に衣替えしていた。

だが、「両立支援等助成金」を申請できるのは事業主だけであることから、個人でも申請できる制度を求める声が上がり、厚生労働省は2021年9月に「小学校休業等対応助成金」を復活させると発表した

この時は2021年8月1日から12月31日までに取得した休暇を対象としていたが、新型コロナの感染の再拡大を背景に、厚労省は期間の延長を決定。12月22日、対象となる休暇取得の期間を、2022年3月31日まで延長したと発表した

どんな制度?対象者は?

「小学校休業等対応助成金」は、新型コロナによる休校などで子どもの世話が必要となった働く親に対して、対象となる期間に、賃金が全額支給される「有給休暇」を取得させた事業主を支援するというもの。

この「有給休暇」には、労働基準法上の年次有給休暇が含まれないことに注意が必要だ。

また、臨時休校だけが対象となるわけではない。厚労省によると、自治体や放課後児童クラブ、保育園などから利用を控えるよう依頼があった場合も対象となる。 

保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外だが、学校長が新型コロナに関連して出席しなくてもよいと認めた場合は対象となる。また、学校全体の休校だけではなく、学年・学級単位の休業や、オンライン授業、分散登校の場合も対象となる。

子ども自身が新型コロナに感染し、小学校などを休む必要がある場合も対象だ。発熱などの風邪症状がある場合や、濃厚接触者となった場合など、新型コロナに感染した恐れがある場合も含む。また、医療的ケアが日常的に必要な子どもや、新型コロナに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患などを有する子どもも対象だ。

いずれも厚労省は、「学校の場合は、学校長が出席を停止し、または出席しなくてもよいと認めた場合」としている。

対象となる子どもの学校種別は、以下の通り。

 

・小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を

置くものに限る)、特別支援学校(全ての部)

・障害のある子どもについては、中学校、義務教育学校の後期課程、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)なども含む。

・放課後児童クラブ、放課後等デイサービス

・幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業など、子どもの一時的な預かりなどを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など 

助成額は?申請期限は?フリーランスで働く保護者も対象

厚労省によると助成額は、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額の10割(全額)。ただし上限があり、休暇の取得時期によって異なる。取得時期ごとの助成額と、申請期限は以下の通りだ。

 

2021年11~12月:日額1万3500円(申請期限:2022年2月28日必着)

2022年1~2月:日額1万1千円(申請期限:2022年5月31日必着)

2022年3月:日額9千円(申請期限:2022年5月31日必着)

 

申請の対象期間中に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の対象地域に事業所がある企業については、いずれの期間でも日額1万5千円となる。

フリーランスで働く保護者も助成対象になる。子どもの世話を行うために、契約した仕事ができなくなった個人で仕事をする保護者には、対象の日について定額の支援金が支給される

ただし、休暇の取得時期によって金額が異なるので注意が必要だ。取得時期ごとの助成額と、申請期限は以下の通り。

 

2021年11~12月:1日当たり定額6750円(申請期限:2022年2月28日必着)

2022年1~2月:1日当たり定額5500円(申請期限:2022年5月31日必着)

2022年3月:1日当たり定額4500円(申請期限:2022年5月31日必着)

 

申請の対象期間中に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の対象地域に住む人については日額7500円(定額)となる。申請には、契約書や電子メールなど、何らかの書面などで、発注者からの指定の内容や報酬が確認できるものが必要となる。

申請方法は?事業主にこの助成金を活用してもらえない場合は…

フリーランスで働く保護者は自ら申請することになるが、会社員など雇用されて働く保護者については、事業主からの申請が原則となる。

ただし、会社側に働きかけても申請に応じてもらえなかった場合に相談できる窓口がある。

小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」で、都道府県ごとの相談先は以下の通り。

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小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口
厚生労働省作成のリーフレット「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口のご案内」より

厚労省の担当者よると、企業で働く個人がこの窓口に相談した場合、まず労働局から事業主に制度を活用するよう働きかける。それでも事業主が応じない場合は、個人で休業支援金・給付金の支給申請ができるよう案内するという。

厚労省の担当者はハフポスト日本版の取材に対し、「小学校休業等対応助成金は、上限はあるが賃金相当額の全額を支給するもの。事業主にはぜひこの制度を使ってほしい」と呼びかけている。 

【参考リーフレット一覧】