日々、様々な事情でつい増えてしまいがちな「勤務時間外のメール」...。
どうやら日本だけでなく世界共通の課題のようだが、働き方の改善に一石を投じることになりそうな法律が、ポルトガル議会で承認された。
勤務時間外に従業員に対してメールやメッセージを送ることを違法化するもので、破った場合には罰金が科される可能性もあるという。承認された背景と具体的な中身はどうなっているのか。
ポルトガルが思い切った。「労働時間外に従業員に連絡」→罰金も
AP通信によると、法律が承認されたのは11月5日の金曜日。ポルトガル政府が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で新しい働き方の形となった「在宅勤務(テレワーク)」に関する新たな労働法として提案し、議会で承認されたもの。
従業員やその家族のプライバシーを侵害する企業に対して新たなルールと罰則を設け、雇用主は各々の従業員が勤務する自宅で発生した仕事関連の費用を補償することなども義務付けたという。
「勤務時間外のメール」に関する新たなルールもその一環で、新しい規則では、企業は例外となる状況を除き、「労働時間外に従業員に連絡することを避けるべき」としている。規則に従わない企業や雇用主には罰金が科せられる可能性もあるという。
複数の議員たちはこの法律の承認に対し反対票を投じた。
euronewsによると、いわゆる「切断する権利」(勤務時間外はデバイスをオフにし仕事関連のメールなどに触れないようにする法的な権利)を含めるという提案は議員たちによって拒否されたという。
踏み込んだ法律の承認、なぜ?背景は...
ポルトガルでは2022年1月に総選挙が控えている。
AP通信によると、この選挙では「労働者の権利」が主な争点になる可能性が高く、この法律の承認は議会解散前に講じられた最後の対策の1つだったという。
一方、承認された法律には例外もある。従業員の数が10人未満の企業は、この法律の対象にはならない。
また、新たな法律では、子どもがいる従業員は子どもが8歳になるまでは、雇用主との間で事前の取り決めをしなくても、在宅勤務の権利が付与されるという。
実はこの動き、ポルトガルだけではない。フランスでも労働法の改正を経て、2017年に「オフラインになる権利」と呼ばれる法律が施行されている。
ネット上では「日本でも必要では」の声も
ポルトガルでの新たな動き。Twitterでは日本でも多くの会話が生まれている。その一部にはこのような声が上がっていた。
「日本でも必要では」
「こんな国があるのか、日本は程遠い」
「日本の働き方改革よりずっと進んでる」
「もちろん、部下も上司に送っちゃダメだよな」
子育てや家族と過ごす時間、プライベートの充実など、終業後の過ごし方は人それぞれ。海外の事例だが、日本でも望む声があることは無視できない。