衆院選、若い世代にとっての「争点」は?
ハフポスト日本版と若者世代に政治や社会のニュースを発信する「NO YOUTH NO JAPAN」は、衆議院議員選挙に向けて、30歳未満のみなさんが候補者・政党に対して「特に積極的に取り組んでほしい社会課題」を尋ねる【選挙アップデート for U30】アンケートを実施しました。
若い世代の声を可視化し、政治に届けることを目指して企画したものです。
30歳以上を含めて幅広い世代からも協力いただき、9月9日から10月28日までに、オンラインで計9628件の回答が集まりました。そのうち、30歳未満の方からの回答は3670件でした。
30歳未満、「ジェンダー平等」の関心高く
特に積極的に取り組んでほしい社会課題は、21個の選択肢(「その他」を含む)から、最大3つまで選べる形で尋ねました。
その結果、U30(30歳未満)で最も多かったのは「ジェンダー平等(選択的夫婦別姓など)」でした。
2番目以降は「新型コロナウイルス対策」「妊娠・出産・子育てがしやすい社会環境の整備」「格差是正・貧困問題」「経済政策・成長戦略」などと続きました。
全世代を通した集計では「新型コロナウイルス」が最も多く、「格差是正・貧困問題」「年金・医療・介護」「経済政策・成長戦略」「妊娠・出産・子育てがしやすい社会環境の整備」と続きました。
「新型コロナウイルス対策」「格差是正・貧困問題」「経済政策・成長戦略」「妊娠・出産・子育てがしやすい社会環境の整備」はU30でも同様に5番目以内に入りました。
世代に関わらず、現在のコロナ対策や経済的な課題に対し、共通して関心が高いことが伺えました。
自由記述欄でも様々なコメントをいただきました。
U30でトップだった「ジェンダー平等」については、選択的夫婦別姓制度の導入を求める声、男女の賃金格差の是正を求める意見などが寄せられました。
「将来不安」についての声も多数ありました。不安定な雇用環境が続き、将来の見通しが立たない中で、 結婚や子育てをする年齢を迎えることへの不安が伺えました。
・中小企業の収入がなかなか上がらない中、子育てや家事を両立しながら一生懸命働いても、その大半を税金として納めなければならず、限界を感じています。
・非正規雇用で若者が安定した生活を得られない状態が多いですが、それの具体的解決策などは考えられていますか?
(「【選挙アップデート for U30】アンケート」より)
関心トピック、投票意識で差
今回の衆院選に行くかどうかについても尋ねました。
U30の回答(3670件)のうち、投票に「必ず行く」と回答したのは2004人(54.6%)、「たぶん行く」は619人(16.87%)。
「決めていない」が166人(4.52%)、「たぶん行かない」が117人(3.19%)、「絶対に行かない」が75人(2.04%)でした。
選挙権年齢に達していないなど、様々な理由で投票に行くことができない方もいて、「行けない」が689件(18.77%)ありました。
投票に行くか「決めていない」「たぶん行かない」「絶対に行かない」と答えた方の「政治に特に積極的に取り組んでほしい社会課題」の上位を見ると、「新型コロナウイルス対策」のほか、「働き方・就職」「年金・医療・介護」「税金」があがりました。「ジェンダー平等」は7番目となりました。投票への意識によって、関心のある課題に違いがあることも伺えました。
結果をもとに、政党アンケートも実施しました
【選挙アップデート for U30】アンケートの結果や寄せられた声をもとに、9政党(自由民主党、立憲民主党、公明党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)に対し、政策について尋ねる「政党アンケート」も実施しました。
政党アンケートでは、若い世代の投票率の低さを改善するための具体策について検討しているかについても聞きました。
各政党はいずれも「検討している」と回答。
若い世代との接点作り、主権者教育の充実、若者政策を担う「担当大臣」の設置、選挙制度の改革といった様々なアイデアがあがり、若い世代に向けた前向きなコメントが寄せられました。
一方で、今回の衆院選の立候補者の年齢を見ると、世代交代が進んでいるとは言い難い状況があります。
全立候補者(1051人)のうち、20代は14人で、前回の衆院選(23人)から大幅に減りました。30代と合わせても計99人で、20〜30代が全体に占める割合は9.4%となります。時事通信によると、全立候補者の平均年齢は54.2歳で、前回から1.4歳上がっています。
若い世代の意見を政治に反映させることを目的に、2016年夏の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて、今回で4回目の国政選挙を迎えます。
前回2017年の衆院選は全体の投票率が53.68%と低い水準にとどまり、その中でも10代40.49%、20代33.85%、30代44.75%と若年層の低さが際立ちました。
コロナ禍で多くの人が生活と政治の関わりを意識するようになって迎えた今回の衆院選。投票を促す様々な取り組みも活発化しており、若い世代を含めて、投票率が注目されます。
2つのアンケートは、企画の段階から、ハフポスト日本版と「NO YOUTH NO JAPAN」が共同で取り組みました。
若い世代の声が届きにくい政治や選挙の仕組みそのものについて問題提起するとともに、U30世代の声や視点を可視化し、政治に届けていくための場づくりを目指しました。
2022年夏には参院議員選挙もあります。アンケートや記事、ライブ番組などを通していただいた様々な意見も踏まえ、今後も企画を続けていきます。