パンを配る少女に「捨てるならあげる方がいい」と言われた。当たり前の風景が素敵だった(写真)

ストックホルムの夏。「あまりに当たり前のことを当たり前のように答えられたので、聞いた自分が恥ずかしくなりました」と撮影者は振り返る。
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スウェーデン・ストックホルムの路地でパンを配る少女の写真が10月27日、Twitterに投稿され話題になっている。

投稿したのはShigeさん。

少女が「捨てるくらいならお腹が空いてる人にあげる方がいいに決まってるでしょ?美味しかったら明日お店に来てね」と言われたことを紹介し、その風景に感動して写真を撮影させてもらったという。

Shigeさんに話を聞いた。

写真を撮影したのは2019年8月。

Shigeさんがストックホルムのガムラスタンの路地を歩いていたところ、少女から急にパンを差し出された。観光客を狙った押し売りかと一瞬警戒したが、他の旅行客も足を止めていたので、パンを受け取った。

Shigeさんが「これは何かのキャンペーンですか?」と尋ねると、少女は「違うわ、どうせ捨てる物だったら、あなた達にあげる方がいいに決まってるでしょ?そこの店よ、今度来てね」と返してきたという。

「あまりに当たり前のことを当たり前のように答えられたので、聞いた自分が恥ずかしくなりました」とShigeさんは振り返る。

その翌日、Shigeさんは言われた通りお店を訪ねた。少女はいなかったが、買い物をした。

2年ほど前のエピソードを、なぜ今になって投稿したのか。コロナで海外に行けないことや、選挙前のタイミングで日本社会に対して思うこともあり、ツイートしたという。

「コロナの影響もあるのでしょうが、批判や皮肉、誰かを貶したりするような負のエネルギーに溢れているよう最近のSNSのムードに嫌気がさしていたことは(このツイートをしたことに)影響していると思います」

ツイートが反響を呼んだことを踏まえて、こんなコメントを寄せた。

「当たり前のことが当たり前に行われる、というのはすごく大事なことです。そしてその当たり前について疑うことはもっと大事なことです。難しい時代ですが、誰も不幸になりたい人間なんていません。人や人生の持つ本来の美しさが見直される社会になってくれればと思います」