性犯罪に関する刑法改正を議論する法務省の法制審議会の初会合が10月27日、開かれた。
上川陽子法務相(当時)が9月、性犯罪に関する法整備をめぐって法制審議会に対し諮問していた。法務省の検討会が約1年間にわたって議論した内容を取りまとめた報告書を踏まえ、審議会では以下の10項目が話し合われる。
1)暴行・脅迫要件や、心神喪失・抗拒不能の要件の見直し
2)性交同意年齢(13歳)の引き上げ
3)地位・関係性を利用した性犯罪を罰する類型の新設
4)わいせつな挿入行為の取り扱いの見直し
5)配偶者間で強制性交等罪などが成立することの明確化
6)性交・わいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する「グルーミング」を罰する罪の新設
7)公訴時効の見直し
8)被害者らの聴取結果を記録した録音・録画の証拠能力の特則新設
9)性的姿態の撮影や、撮影した画像などの提供行為を処罰する罪の新設
10)性的姿態の画像を没収・消去できる仕組みの導入
ヒアリングの実施へ
性犯罪に関する法制審議会の部会は、大学教授や性被害者の当事者団体代表、弁護士、検察官など17人の委員から成る。第一回目となる27日の会合では、部会長に井田良・中央大教授が選任された。
会合は非公開で行われた。法務省刑事局によると、委員からは「被害の実態を踏まえて議論していきましょう」という提案や、「性交同意年齢は引き上げるべき」「不同意性交等罪を創設するべき」などの意見があった。
一方、暴行・脅迫要件の見直しについて、慎重な立場からは「裁判体による(判断の)ばらつきは法律の要件が問題なのか、運用側の問題なのかは見極めなければいけない」といった意見も上がったという。
第二回は11月29日に開かれ、ヒアリングを行う予定。聞き取りの対象者は未定という。