「1000のボタン」が押し放題の工場見学が好奇心をそそる。「押すなよ!」の逆をゆく企業の試み【写真】

まるでダチョウ倶楽部の鉄板ネタのよう。一番人気のボタンは?子どもたちに人気の秘密を担当者に聞いた。
|
Open Image Modal
1000のボタンのコーナー
島田電機製作所より提供

エレベーターのボタンや到着灯などを製造する島田電機製作所が10月20日にTwitterに投稿したツイートが話題だ。21日午前の時点で10万以上の「いいね」が集まっている。

ツイートは、同社が実施している工場見学の行程の1つ「1000のボタン」のコーナーを紹介したもの。「ちびっ子の『押せるボタンは全て押す』という決意が伝わってきてとてもいいです」との投稿に対し、「大人でも押したい」「子どもと行きたい」などと反響が寄せられている。

この取り組みを始めた経緯や“人気のボタン”について担当者に聞いてみた。

「押すなよ!押すなよ!」の逆をゆく自由さ

島田電機製作所では2018年、モノづくりの素晴らしさを伝えたいという思いから、主に子ども向けにエレベーターボタンの製造過程などを紹介する工場見学を始めた。

今年で4年目だが、コロナ禍の緊急事態宣言下で一時中止に。10月20日から再開された

工場見学は2種類あり、モノづくりについてしっかりと学べる「じっくり見学コース」と“1000のボタン”で存分に遊べる「ボタン押しまくりコース」がある。

どちらのコースを選んでも“1000のボタン”のコーナーを回るが、やはり子どもには好き放題ボタンを押せる時間が一番人気だという。

担当者は、子どもの反応や人気の要因をこのように話す。

「普段、エレベーターなどのボタンは保護者から『押しちゃいけないよ!』と注意をされますよね。だからこそ、『ここなら好きなだけ自由に押していいよ』と許される。それがかえって、子どもたちの好奇心をそそるのかもしれません。ダチョウ倶楽部さんのネタのように、『押すなよ!』と言われたら、子どもでも押したいですからね(笑)」

一番人気のボタンは?

制限時間1分で好きなだけボタンを押せるが、想像以上に押せないようだ。

1000もの数があれば、子どもたちは各々でお気に入りのものを見つけるという。ちなみに、担当者のお気に入りは「絶対に押すな!」と書かれたボタン。「ある種の背徳感もあり、お気に入りです。ぜひ見つけて欲しいです」と話す。

Open Image Modal
1000のボタンの早押しチャレンジも実施している
島田電機製作所より提供

「B to B」の企業だからこそ...

Twitterでの反響については、社員一同驚いたという。

そもそも同社は1933年に創業。エレベーターボタンや到着灯などの意匠器具を長年にわたり製造し、日本の多くの高層ビルのエレベーターに使われるなど、国内シェアは6割以上、海外へも進出し上海にも拠点を持つ。

担当者は「B to Bの企業だからこそ、我々の仕事はあまり人に知られることはありません。でもだからこそ、ブランディングやSNSでの発信に力を入れています。今回の反響はその一つの成果かもしれないと感じます」と話す。

工場見学は「0のつく営業日」に行っているが、今回のTwitterでの反響を受けて昨日の時点で2022年6月までの予約が埋まったが、同7月以降の予約やキャンセル待ちを受け付けているという。