明大生が一夜だけ開店した「3分の1パン屋さん」。店名に込めた「食品ロス」の2つの問題

パン屋の名前は「3分の1のパン屋さん』。その由来は?
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「世界食料デー」の10月16日、日が沈んだ明治大学のキャンパスの一角に灯りがともった。

同大の学生が一夜限りでオープンしたパン屋「3分の1のパン屋さん」だ。

販売するパンは、閉店時間がせまるパン屋で売れ残りそうな商品を仕入れたもの。

まだ食べられるのに捨られてしまう「食品ロス」の問題を身近に考えてもらおうと学生らが企画した。 

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「3分の1パン屋さん」
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ビッグイシューの「夜のパン屋さん」が協力

「3分の1のパン屋さん」は、「BIG ISSUE JAPAN(ビッグイシュー日本)」が運営する「夜のパン屋さん」をモデルにしたものだ。

ホームレス状態にある人に雑誌販売の仕事を提供するビッグイシュー。

新型コロナの影響で販売数が落ち込むなか、雑誌販売以外の仕事づくりに乗り出し、2020年10月に「夜のパン屋さん」を立ち上げた。

販売員の仕事の機会を増やしながら、食品ロスを減らすのがねらいだ。

今回の明大での企画では、学生たちが「夜のパン屋さん」が提携するパン屋から商品を直接仕入れ、販売した。パンはどれも人気店のものだ。

「3分の1」に込めた思いとは…

ところで、店名の「3分の1のパン屋さん」の由来は何なのか。

企画を立ち上げた情報コミュニケーション学部の島田剛ゼミナールの学生によると、食品ロスにまつわる2つの「3分の1問題」にちなんだものだという。

世界では、生産から消費までのフードチェーン全体で、年間13億トンの食料が廃棄されているという。これは、世界で1年間に生産される食料の「3分の1」に匹敵する。

食品ロスの背景は様々だが、日本においては、食品メーカーと小売店の間の「ある慣習」が要因の一つとなっている。卸業者は商品を製造日から数えて賞味期限の「3分の1」までの期間に納品しなければならないというもので、通称「3分の1ルール」と呼ばれるものだ。納品が遅れた商品は、廃棄されてしまう場合も多いという。

廃棄される「3分の1」だったかもしれないパン。そんな商品を美味しく食べてもらうことで、食品ロスについて考えてもらうきっかけを作りたいーー。店名にはそんな思いが込められているという。

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「3分の1パン屋さん」を運営する明大生
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パンやコーヒーから見える社会問題。「私たちの選択一つ一つが世界と繋がっている」

店頭に並んだパンは、菓子パン、惣菜パン、食パンなどさまざま。約80個が17時半の開店から約2時間で完売した。購入した人の多くが、通りすがりの人だったという。

4年生でゼミ長の中山優衣さんは「ふらっと足を止めてくれたお客さんに『実はこのパンにはこんな背景があって…』とお話すると、結構興味を持ってくださって。『じゃあ買ってみよう』と実際にお金を払ってくれた人がいたのは嬉しい驚きでした」と話す。

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「3分の1パン屋さん」で販売されたパンと「明治大学SDGsコーヒー」
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パンの隣では、ゼミ生が手がけた「明治大学SDGsコーヒー」も販売された。コーヒー豆生産の裏側にある貧困や不平等の問題を知ってもらおうと、地元神保町に本社があるコーヒー豆の輸入・販売を行うミカフェートの協力のもと企画したものだ。障害者らが働くコロンビアの農園のコーヒー豆を使用しているという。

「社会問題やSDGsは遠く感じてしまいがち。だからこそ、これからも身近なものを通して、私たちの選択一つ一つが社会課題と繋がっていることを考えるきっかけを提案していきたいと思います」(中山さん)

「明治大学SDGsコーヒー」(数量限定)は明治大学の公式通販で購入可能