第100代の首相に就任した岸田文雄氏が10月8日、衆参両院の本会議で初めての所信表明演説を行った。
演説で岸田氏は、自身が訴える「新しい資本主義の実現」や地方のデジタル化をすすめ活性化をめざす「デジタル田園都市国家構想」、担当大臣を新設し力を入れる「経済安全保障」などの政策の方針について説明した。
「そして、最後になりますが…」
演説の終盤、岸田氏はこう切り出し、アフリカのあることわざを引用した。
『早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め』
「新型コロナという目に見えない敵に対し、われわれは、国民全員の団結力によって一歩一歩前進してきました。改めてこの日本という国が先祖代々、営々と受け継いできた、人と人のつながりが生み出す、やさしさ、ぬくもりがもたらす社会の底力を強く感じます。正に、『この国のかたち』の原点です」
「この『国のかたち』を次の世代に引き継いでいくためにも、私たちは、経済的格差、地域的格差などがもたらす分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り拓いていかなければなりません。そのために、みんなで前に進んでいくためのワンチームを創りあげます」
「1人であれば、目的地に早く着くことができるかもしれません。しかし、仲間とならばもっと遠く、はるかに遠くまで行くことができます。私は、日本人の底力を信じています」
「日本人の底力を信じている」は、自民党総裁選に際し、岸田氏と争った高市早苗氏が使用していたフレーズだ。
岸田氏はこの所信表明演説の冒頭、「私は多様性が尊重される社会を目指します。若者も、高齢者も、障害のある方も、ない方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会です」と語った上で、「全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創っていこうではありませんか。日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です」とも強調していた。