「『脱原発』の河野さんが首相になったら、速やかに原発がなくなっていくという印象を国民の多くは持っていたと思う」
9月18日、自民党総裁選(29日投開票)の4候補による討論会(日本記者クラブ主催)では、「脱原発」を主張してきた河野太郎・規制改革担当大臣に対し、他の候補がエネルギー計画の展望を追及する場面が目立った。
「再エネを日本経済の新しい芽に」
岸田文雄・前政調会長は「核燃料サイクルを止めてしまうと高レベルの放射性廃棄物はそのままになる」。野田聖子・幹事長代行も「人工呼吸器を息子が使っている。電力の安定供給を保証できないことは、あってはならない」と、それぞれ原子力発電の必要性を訴えた。
これに対し、河野氏は「私が言っている『脱原発』は、耐用年数がきたものは速やかに廃炉になり、ゆるやかに原子力から離脱していくことになる、ということ」と説明。
「省エネと再生可能エネルギーを増やし、足らざるところは原子力で補うが、原発の耐用年数の間に再エネを増やしていかなければいけない」
「原子力産業はあまり先が見通せない。再エネは日本発の新しい技術が出れば、世界中に日本から出していく」「日本の経済の新しい芽にしていく」と強調した。
さらに、使用済み核燃料の最終処分を「原発の最大の問題」とし、「どこかで最終処分、地層処分する場所を探さなければいけない。現実的な処分方法をどうするのかをテーブルにのせて議論をした方がいい。国の責任である程度、やらなければいけない」と踏み込んだ。
高市氏「ベビーシッターの国家資格化を」
一方、野田氏と高市早苗・前総務大臣の間では、「子育て支援」や「多様性のあり方」について論戦があった。
高市氏はベビーシッターの国家資格化が持論で、「(国家資格化によって)利用代金の一定割合を税額控除する。また地方にお金を出してクーポンで対応する。どうしてもこの取り組みを進めたい」と、野田氏に理解を求めた。
しかし、野田氏は10代のころ、アメリカでベビーシッターをしていた経験をふまえ、「あまりガチガチに資格を取るということになると、何かあるとダメだとか柔軟性がない」とし、「値段を引き下げることが大事だ」と突き返した。
逆に、野田氏からは「私たち女性は永田町では弱者だ。数もないし、いろいろ女性ならではの背負いがあって、ここまで2人はたどりつけたと思う」と語りかけ、「あなた自身、『優しさ』や『多様性』について、どうしていきたいのか」と尋ねた。
高市氏は「女性総合診療科」の増設のほか、「障害者の方々が働いている事業所の仕事が急激に減っている。特に飛行機のなかのスリッパやイヤホンを洗うとか、ベッドのクリーニングなど。まずその事業所をしっかり支えたい」と答えた。