偏食気味の子どもに合わせた食事中心で、夫は難しい顔...。一体どうすればいいの?

第17回 白央篤司の「家事の“ごはん作り”担当の皆さん、おつかれさまです!」
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(写真はイメージ)
Ivan via Getty Images

新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。

日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです! 

炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。

宮城県 みみさん 50歳

同世代の夫と小学生の娘に、食事を作っています。最近、夫に何を食べさせたらよいのか分からず、食事作りが苦痛です。

娘が偏食気味なので、娘が食べられる物を中心に献立を決めています。もちろん主人も食べられる物の中からです。夫は文句こそ言いませんが、ここ数年食事のときは、おかずを不思議な物を見るような目でじっと見たり、難しい顔をして苦行の様に食べています。食事に不満があるんだろうな〜と思い、時々「お父さんは何が食べたい?」とたずねるのですが「何でも〜」と、希望もちゃんと伝えてくれません。文句を言われてるわけでないのですが、何を作ったらよいのか分かりません。

みみさん、思いをメールにしてくれてありがとうございました。こういうの、気になりますよねえ。夫さん、以前はもっと普通に食べられていたということですよね。

お子さんが生まれて、それまでは夫婦が食べたいものを中心に作っていたけれど、やっぱりどうしても子ども向きの味が続いて不満なのか……などということは、きっとみみさんも既にお考えと思います。とりあえず、私の感じたところを聞いてください。

日々の家族の食事作り。三度三度、毎日のことですよね。

これだけでも、労力的に大変なこと。受け持っている家事はそれだけじゃないでしょうし、育児もありますよね。そんな中、家族に毎回食事を喜んでもらえたら最高ですけど、やっぱりそうもいかないのが現実ではないでしょうか。

あくまで私はですが、家のごはん作りは「自分が続けやすいこと」を最優先にしています。「何を作ればいいのか」とみみさんは迷われているようですが、自分が作りやすいものを作る、そのとき余っている食材、使わなければいけない食材で献立を決める、ということを優先していいのではありませんか。そうじゃないと、まわっていきませんよね。余裕のあるときに家族の好物を作る、というのでよいのではないかと。「食べたいものがあったら言ってね、できるときは作るから」とたまには伝えるようにして。

しかしとはいえ……「不思議な物を見るような目でじっと見たり、難しい顔をして」つれあいが食べていたら、一緒にいてつらいですな。聞いてみても理由は答えてくれない。うーん、どうしたものでしょうね。

夫さんも50歳ぐらいとのこと。40代後半から、味の好みが変わる人は多いです。小学生の娘さんが食べられるもので、夫さんも嫌いじゃないものを選んでいるようですが、もしかしたら味つけが濃いめだったり、油が強かったりするのかもしれません。また、そういう好みの変化を自分で認めたくない、そういう変化を近しい人に伝えるのが恥ずかしいという人もいます。

妻に「もっとあっさりしたものがいいの?」と気をつかわれて「いや、そんなことないよ!」となんて言ってしまう中高年男性、私のまわりに結構いるんです。「肉や揚げ物が最近正直つらいんだけど、なんだか老人になったみたいで情けなくて、妻に言えなくてさ」というグチを同級生から聞いたことも。

また歯や歯茎を悪くして、今までは食べられていたものが食べづらくなることもあります。貝類やイカなども人によっては硬くてつらかったり、麺類でも噛み切るのが大変だという人も。あるいは今までは平気だった量が、重く感じられてくることも。こういうの、身近な人であればあるほど素直に伝えられない面があるかもしれません。他の心身的な理由で食欲不振ということも考えられます。 

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(写真はイメージ)
MIXA via Getty Images

体調に関することは夫婦間でも聞きにくく、言いにくいことはあるもの。夫さんはこれまで、どんな食嗜好だったでしょうか。ごくあっさりしたもの、柔らかくて食べやすいものなど、今まであまり出していなかったら、反応を見てもいいのではないでしょうか。尋ねやすい雰囲気のときに、「食べ物の好み、ちょっと変わった?」なんて言葉をかけてみてもいいかもしれません。

と、なんだか今回は私の推理めいたお答えになってしまいました。見当はずれだったら本当にすみません。ともかく現在「食事作りが苦痛」とのこと。心より「おつかれさまです」とみみさんに言いたいです。お気持ち、お察しします。みみさんご家族の食卓が、少しでも良い方に向かいますように。

※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。

白央篤司(はくおうあつし)

1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitterブログ

 (編集:笹川かおり)