感染予防策が不十分だったとして、ヒップホップの野外イベント「NAMIMONOGATARI2021」に批判が広がっている問題。イベントが開催された愛知県の大村秀章知事の記者会見での発言が話題になっている。
大村知事は8月30日の会見で、県から主催者側に感染防止策を徹底するよう求めていたなどと経緯を説明。「強く要請したことが守られていないことは極めて問題であり遺憾」と憤りをあらわにし、主催者や運営会社に抗議したことを明らかにした。
話題になっているのは、記者との質疑応答で出た大村知事の発言だ。
記者は、「音楽フェスは原則やめてくれというような強いメッセージを県として独自に出さないのか?」と質問。大村知事は、「それは違うのではないか」と述べ、イベントの開催制限などは求めない考えを示した。
感染防止策を守りながら事業活動を続ける音楽業界関係者を潰しかねない、という理由からだという。
「それをやると、結局真面目に一生懸命、感染防止対策をやって、音楽業界関係の皆さんの仕事も一生懸命支えたい、両立させてやっていきたいという人を、潰しちゃうことになりますよね。叩いちゃうことになりますよね。それは、私は違うのではないかという風に思いますね。
こういう約束したことを守っていただけない方のために、一生懸命守っている方が被害を受ける、迷惑を被るということは違うと思います」
愛知県は8月27日から緊急事態宣言の対象となった。政府は現在、宣言の対象地域で開催されるイベントについて、収容人数を「5000人以下」かつ「定員の50%以内」に制限するよう定めている。
しかし、大型音楽フェスティバルの開催をめぐっては、「無観客にするべきではないか」などの意見もあり、ネット上で賛否両論が繰り広げられている状況だ。
大村知事は、 「文化芸術、アーティストはもういらないとは誰も思っていない」と指摘。「この世の中や日本には、音楽業界、コンサートといった文化芸術、アーティストはもういらないと。なくていいんだと言うなら別ですけど、そんなことは誰も思っていない」と述べた。
そして、「感染防止策を徹底した上で両立をやっていただくことに尽きる」と強調。「どうやって両立していくのかということですよね。ですから私は引き続き感染防止対策をしっかりやっていただいた上で、なんとかみんなでこの厳しい状況を乗り越えていこうということを申し上げたい」と述べ、人数制限やイベント開催における感染防止ガイドラインを遵守するよう求めていく方針を示した。