2019年から中国東北部・大連で進められていた京都の街並みを再現するプロジェクトが、開業から1週間とたたないうちに、地元政府から一時休業するよう求められていたことが分かった。複数の関係者がハフポスト日本版の取材に対し明らかにした。
■1000億円超の投資で実現
この京都再現プロジェクトは「大連樹源科技集団有限公司」が手がけ、日本からも企業や設計者らが参加した。正式名は「盛唐・小京都」。大連郊外のリゾート地にある東京ドーム13個分の敷地を利用し、別荘や商店など1600超の建物を設ける。総投資額は60億元(約1020億円)に上る。
2019年夏に筆者が現場を訪れたところ、建設予定地には奥が霞んで見えるほどの荒地が広がっていて、付近では京都風の別荘地や日本式の温泉旅館がすでに人気を博していた。全体を1/3ずつに分割し、出来上がった部分から順に開業する計画だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で遅れ、8月25日に第1期の開業式典が開かれた。
現地でカレーなどを売る店を出店した「松井味噌」の松井健一社長によると、25日からは多くの客が詰めかけ、午後には商品が売り切れるほどだったという。「小京都」は大連郊外のリゾート地として知られる場所に位置し、新たな観光の起爆剤として期待されていた。
しかし、複数の関係者によると30日夜までに、全ての店舗を一時休業とするよう、地元政府から通知があったという。
このプロジェクトをめぐっては、SNSなどで現地の写真などが投稿され盛り上がりを見せる一方で、日本風を前面に押し出した大規模施設の建設に反対する声も上がっていた。
関係者の一人はハフポスト日本版の取材に「客が多すぎるとコロナ対策にも影響する。ネット世論もあり、複合的な原因が重なった。残念だ」と説明した。休業期間がどれくらい続くかは分かっていないという。