10万5000人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災から、9月1日で98年を迎えた。国立映画アーカイブは同日、ウェブサイト「関東大震災映像デジタルアーカイブ」を開設。震災後の惨状を記録した貴重な長篇映画『関東大震大火実況』の全編を初めてネット上で無料公開した。
のちの昭和天皇の姿も...
公開されたのは、文部科学省が監修し、全国規模での普及を図った長篇記録映画『関東大震大火実況』(1923年)。
大正〜昭和期の記録映画作家・白井茂さんが撮影を務め、関東大震災に関する映画の中でも特に知られる1本という。東京と横浜の凄惨な被災状況から、救護や治安維持活動にあたる官民の姿などを映した貴重な映像だ。
作品は場所やシーン別に視聴でき、被災状況を視察する摂政宮(のちの昭和天皇)の姿も映されている。
未曾有の災害発生後、懸命に生きた人々の様子が伝わる作品画像を紹介する。
2年かけて映画資料などを公開へ
記録映画は、国立映画アーカイブが国立情報学研究所と共同で制作したウェブサイト「関東大震災映像デジタルアーカイブ」で視聴できる。
国立映画アーカイブは今後、震災発生から100年にあたる2023年9月1日までの2年をかけて、所蔵する震災関連の映画フィルムを全て公開する予定という。その作品数は約20作品にも上る。
国立映画アーカイブは、「10万5千人に及ぶ死者・行方不明者を生み出した未曽有の巨大災害についての知識と関心をより高めていただくとともに、記録映画へのリテラシーを養い、映像ならではの発見や驚きを実感していただけるよう、今後も工夫を加えながら、成長するサイトとして育ててまいります」としている。