オリンピックの国際映像を供給するオリンピック放送機構(OBS)が、過度に性的な意図が感じられる女性アスリートの映像を排除する方針を示していると、AP通信が報じている。
アスリートの映像が性的な目的で利用される被害が問題視されており、国際オリンピック委員会(IOC)が放送ガイドラインで「性的な魅力ではなく、スポーツの魅力を考えること」と注意喚起している。
OBSの最高責任者は7月26日、「私たちが今後放送する映像には、身体部位の詳細やクローズアップといった、私たちが過去に見ていたようなものはなくなる」とAP通信に説明。「私たちにできることは、放送の中で、選手の着衣などを特定の方法で際立たせたり、取り上げたりしないということだ」と語っている。
国際オリンピック委員会(IOC)は、2021年版の放送ガイドラインで、ジェンダー平等に即したスポーツの表現を掲げている。
大会映像や写真によるアスリートの性的被害を防ぐため、▽容姿(化粧や髪型、ネイルなど)▽服装▽身体部位(下腹部や胸部、でん部など)について、アスリートのパフォーマンスに直接関係がない場合は、不必要に取り上げないこと、と記載。
アスリートが、競技中などに予期せず服装が乱れ、体の一部が露出してしまった場合は「アスリートの人格を尊重し、映像や画像の再編集や削除をする」ことなども盛り込まれている。
ドイツの体操選手、抗議の「ユニタード」
東京オリンピックでは、選手たちからも、性的な目的での撮影や映像利用に対する“抗議の意思”が示されている。
ドイツの女子体操選手たちが団体の予選で、くるぶしまで脚が覆われた「ユニタード」を着て競技に臨んだ。
ドイツの女子体操チームは、4月に開かれたヨーロッパ体操競技選手権で初めてユニタードを着用。「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」と理由を説明していた。選手のひとりは「その日にどう感じるか、何を着たいかで決めています」とも話している。
一方で、選手が望まないユニフォームの着用を強いられている競技もある。
ノルウェーの女子ビーチハンドボールチームは7月のヨーロッパ選手権で、ビキニパンツを拒否して短パンを着用し、罰金を科された。
「女性選手はビキニパンツを着用」と義務付ける国際ハンドボール協会の規定に対して、「性差別的」「女性選手を性的対象として扱うな」などの批判が起きた。