国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーの1社・中国アリババグループは7月20日、東京オリンピック・パラリンピックに提供するクラウド技術などを発表した。
この中で、耳に装着することで深部体温と心拍を図り、熱中症の事前予防に役立つとする機器などを紹介。一方、大会開催自体に日本で反対の声が高まり、スポンサーの対応にも注目が集まっていることには「最善を尽くすのみです」と答えるにとどめた。
■2種類の機器を公表
中国IT大手・アリババグループは2017年にIOCの最高位スポンサーとなり、大会のクラウド関連業務を請け負う。この日は、東京ビッグサイト(東京江東区)の「国際放送センター(IBC)」に設けられた専用のブースで、メディア向けに説明会が開かれた。
大会では、子会社の「アリババクラウド」が、オンライン記者会見や映像配信などに必要な技術を提供する。また、アメリカ「インテル」と共同で、出場選手の動作解析などを可能にする「3Dアスリート・トラッキング」を手がける。
そのほか、大会スタッフが耳に装着する、小型の耳かけイヤホン型の機器を発表。深部体温や心拍数などをモニタリングし、熱中症の危険があればアラートを発して知らせるという。
また、各国から集まる報道関係者へ配ったという、重ね合わせるだけで連絡先の交換が済むバッジ状の機器もお披露目した。担当者は「手に持ったバッジを合わせるだけならばソーシャルディスタンスを保てる。名刺交換のデジタル化です」と説明した。
アリババクラウドのユニーク・ソン・カントリーマネージャーは取材陣に対し「多くの会場で無観客となるが、リモートで選手を応援できるシステムも提供する」と話した。
一方で、日本国内では開催自体に反対する声も高まり、大会スポンサーの対応にも注目が集まっている。トヨタ自動車が大会に関連するテレビコマーシャルの放送を取りやめたほか、パナソニックも社長が開会式の出席を見送る。
こうした状況下で自社技術をPRする難しさについて問われると、広報担当者が「後ほど回答したい」と制止。ソン氏は「誰もが安全であるように、最善を尽くすのみです」と答えるにとどめた。