東京五輪の学校観戦を行う予定の茨城県鹿嶋市の市立学校が、会場にペットボトルを持参する場合、コカ・コーラ社の製品をできる限り持ち込むよう求める文書を保護者らに配布したとして、波紋を呼んでいる。
日本オリンピック委員会(JOC)の公式サイトによると、コカ・コーラ社は大会のスポンサーで、「ワールドワイドオリンピックパートナー」に位置付けられている。
鹿嶋市教委は、ハフポスト日本版の取材に、配布の事実を認めた上で「学校からはコカ・コーラの製品を推奨する意図は全くなかったと聞いているが、誤解を招く表現だった」とコメントした。
どんな内容だった?
鹿嶋市教委によると、市内のある学校で保護者向けに配布された文書には、大会会場に持参する飲料について、ペットボトルを持ち込む際にはできるだけコカ・コーラ社の製品を持参すること、それ以外の企業の製品は全てラベルを剥がして持ち込むことなどを呼びかける内容が記載されていた。
当該校は、なぜこうした要請をしたのか。市教委に経緯を尋ねた。
市教委によると、7月9日に、東京2020大会組織委員会、市教委、会場で観戦する学校の関係者が参加する現地説明会が開かれた。この場で、組織委の担当者から、観戦時にペットボトルを持参する場合、コカ・コーラ社以外の企業の製品はラベルを剥がして持ち込むよう口頭で注意喚起があったという。
組織委の呼びかけは、大会スポンサーに配慮する意図があったとみられる。
一方、市教委は、コカ・コーラ社の製品のみラベルを剥がさないのは平等ではないことや、子どもたちにとって同社と他企業との区別は分かりにくく徹底が難しいことから、「全てのペットボトルの扱いを統一する」との方針を決定。引率する学校関係者に対して出しているマニュアルに、ペットボトルを持参する場合はコカ・コーラ社の製品か否かに関わらず一律でラベルを剥がすよう促す内容を記載した。さらに、参加校の管理職が集まった12日の会議でも、同様の説明をしたという。
「推奨の意図は全くない」
だが、観戦を予定する市内の公立学校18校のうち1校で、コカ・コーラ社の製品を優先的に持ち込むことを求めているように読み取れる文書を配布していた。
市教委によると、この学校は9日時点の組織委からの呼びかけを踏まえて文書を作成したという。
市教委の担当者は、学校側への聞き取りを踏まえ、「学校にコカ・コーラの製品を推奨している意図は全くなかった」と説明する。
一方で、市教委は「文書は誤解を招く表現だった」との見方を示した。文書の修正など今後の対応については検討中という。
大会組織委員会は、会場への持込禁止物品の一つとして、「特定の会社または企業の宣伝を目的として、特定の会社名、製品名等を表示した物」を挙げている。
ハフポスト日本版は、組織委に対し、市教委や学校への呼びかけの内容や意図を尋ねたが、組織委は「個別のやり取りについては回答を差し控えさせていただきます」として一切答えなかった。