LGBTQと「そうかもしれない」若者の居場所に。相談支援がプライドハウス東京でスタート

アンケートによると、LGBTQユースの7割以上が家族や同居人との生活で困難を抱えている。

東京都・新宿のLGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」で2021年4月、性的マイノリティと「そうかもしれない」と感じている若者のための無料相談が始まった。

「ラップアラウンド・サポート」は、24歳までのLGBTQ+当事者や、「そうかもしれない」と感じている人たちを対象としたプログラム。オンライン、または来館してスタッフと相談ができる。

性的指向や性自認のことのみならず、勉強のことや経済的な相談、誰かと話をする時の付き添いなど、包括的なサポートに取り組んでいる。

家でも学校でもない、第三の居場所

 「家でも学校でもない、第三の居場所として使ってもらえたら」

そう話すのは「ラップアラウンド・サポート」相談スタッフの鈴木茂義さん。この取り組みが開始した背景には、コロナ禍の状況があるという。

 「プライドハウス東京レガシー」が性的マイノリティなどを対象に実施したアンケートによると、4割弱が新型コロナウィルスの拡大によって「安心して話せる相手や場所」と繋がりにくくなったと回答した。

LGBTQユースの7割以上が、家族や同居人との生活の中で困難を抱えていることも分かった。

「自分の性的指向や性自認のことを誰かに打ち明けたいけれど、安心して話せる友達がいなかったり、周りの人に打ち明ける不安といった困り感があるのではと思います」と鈴木さん。

「家や学校が安全な場所であれば、ユースの子達も居心地よく過ごせると思います。しかし、家の中で過ごす時間が多くなるなどして、なかなか自分自身がLGBTQ+の当事者であるということをポジティブに話せない。もしくは学校で自分自身が当事者であることが理由で、何かうまくいかないことがあるかもしれません」

「『ラップアラウンド・サポート』はそんなユースの困り感に手を差し伸べるためのプログラムだと思います」 
 

「今」を生きる若者を支える力に

Open Image Modal
鈴木茂義さん
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

鈴木さんが自身の性的指向について気がついたのは、小学一年生の時。

周りの男友達が好きな女の子の話題で盛り上がる中、同性に興味が向く自分はそのことを周りの人に話せなかった。

「悩みやちょっとしたモヤモヤを、常に自分の中で解決するという方法しか知りませんでした」と鈴木さん。

「自分の性的指向のこと、もしくはそれに付随する悩みなどを誰かに話すことができたら、自分が若い頃に感じていたものも違っていたのではないかと今振り返って感じています」

鈴木さんは現在、小学校の非常勤講師として勤めている。

「ラップアラウンド・サポート」には鈴木さんと共に、LGBTQコミュニティで活動経験のある人や福祉の専門家など、多様なバックグラウンドを持つ相談スタッフがいる。

近年、日本で暮らす性的マイノリティを取り巻く環境には前進がある一方で、当事者にとって安心と安全が保障されていない状況もある。

鈴木さんは「ラップアラウンド・サポート」を通して、そうした時代を生きるユースを支える力の一つになりたいと話す。

「相談をすることの良さの一つは、自分の悩みを一緒に考えてくれる仲間が増えるということです」

「色々な悩みがあっても、寄り添ってくれる人は必ずいるということを伝えたいです。どんなユースにも必ず輝く力があるので、そういった強みを社会で発揮して欲しいと願っています」