洗面所やキッチンなどの水回りは、湿気が溜まりやすく、特に梅雨から夏にかけての季節は、カビが気になる場所です。中でもお風呂はその筆頭ともいえるのではないでしょうか。お風呂の湿気をとり、カビの発生を防ぐための「換気扇の正しい使い方」を一級建築士の前澤優太さんに伺いました。
浴室の換気はどうするのが正解なのか
入浴後は換気扇を回して浴室にこもった湿気をとりますが、そのとき窓とドアは開けるのが正しいのでしょうか、それとも閉めるのが正しいのでしょうか。
「大切なのは、浴室全体の空気を回すことです。そのためには、換気扇を回しているときは浴室の窓とドアを閉めなければなりません。窓を開けた状態で換気扇を回すと、窓から入った空気が換気扇から流れ出て、結果的に窓近くの空気しか循環しなくなります」(前澤さん)
マンションなど浴室に窓がない場合、浴室の入り口にあるドアを開けたまま換気扇を回す人もいるのではないでしょうか。しかし、このやり方も湿気が脱衣所の方へ流れ出てしまい、浴室の換気としては非効率だそうです。
「もし浴室のドアの下部にガラリ(ブラインドのような斜めの隙間)があれば、ガラリは開けたままドアを閉めて換気してください。ガラリ以外は密閉した状態で換気扇を回すのが、浴室の正しい換気法です」(前澤さん)
浴室のドアにガラリがない場合は、ドアを数センチ開けておくと脱衣所に湿気が流れにくくなり、上手に空気を循環させることができます。
換気扇を使わない方法と注意点
さらに「換気の点から考えると、換気扇は24時間回し続けたほうがいい」と前澤さんはアドバイスします。
「換気扇の機種や電力会社にもよりますが、常に換気扇を回し続けても、ふつうは1ヵ月の電気代は200~300円程度です。入浴後の短時間しか回さないでいると、浴室にカビが生えるリスクが高まります」(前澤さん)
とはいっても、ずっと回し続けることに抵抗がある人もいます。その場合は「対角線状に2ヵ所以上の窓を開けて換気をすると、より効率的です」と前澤さんは言います。
たとえば給気を行う浴室の窓を半分程度開け、排気を行う脱衣所や廊下の窓を全開にしておくと、空気の循環が生まれます。
「それでもいいのですが、湿気をとる基本は、やはり浴室を閉めて換気扇を回し続けることです。雨の日や外の湿気が高い日は、外からの空気がカビの原因になることもあるためです」(前澤さん)
家の中の湿気やカビが気になる梅雨どき、換気扇を上手に使ってカビが発生する前に防いでみませんか。
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