7月4日(日)は、東京都議会議員選挙の投開票日です。約1400万人の東京都民の税金をどう使うか、今後の都政を左右する大事な選挙ですが、投票率の低さが課題となっています。
前回(2017年)の都議選の投票率は51.28%。年代別に見てみると、若年層の投票率が低く、最も低い20代の投票率は26.4%でした。60代以上の投票率とは倍以上の差があります。
若い世代に向けて政治や社会問題について発信する団体代表の能條桃子さんは、「投票することは、自分たちが生きたい社会を選ぶ意思表示でもある」と、一票を投じることの重みを呼びかけます。
若年層の低さが浮きぼりに
任期満了に伴い行われる都議選。127の議席を、271人の候補者が争います。
過去3回(2017年、2013年、2009年)の都知事選の年代別推定投票率は、以下の通り。
グラフを見てみると、2017年都議選での20代の投票率は25〜28%で、すべての年代の中でも最も低いことがわかります。高齢層は投票率が高く、60代と比べると、投票率の差は倍以上あります。
能條さんは、30歳以下の人に向けて、Instagramを中心にわかりやすくニュースや社会問題を伝えるメディア「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げました。メディアを立ち上げた理由の一つが、若い世代の投票率の低さだったといいます。
「年齢に限らず投票に行くことは大事」だと前置きした上で、「自分たちの存在がいるということを示すためにも、若い世代に投票に行ってほしい」と能條さんは話します。
「投票することは、自分が生きたい社会を選ぶ手段でもあると思います。『誰が選ばれてもいい』って本当に思いますか、ということを確認してほしいです。投票に行くことはそれほど時間もかからないので、意思表示のつもりで、投票に行ってくれる人が増えるといいなと思います」
NO YOUTH NO JAPANは、都議選の投票に行くよう呼びかけるポスターを制作しました。ポスターはセブンイレブンのネットプリントで誰でも印刷ができるようになっていて、学校やアルバイト先などに提示するよう呼びかけています。
▼ネットプリントの取り組み。(※正しい予約番号は「67220447」)
また、杉並区に住む20代の学生らが始めた投票率を上げるための活動をサポートするなど、若い世代への呼びかけに取り組んでいます。
「シルバーデモクラシー」と言われるけれど...
少子化の加速で、高齢者が多数派となる現象は「シルバーデモクラシー(民主主義)」ともいわれます。
それでも、能條さんは「人数が少ないことを悲観的に考えていない」と話します。
「長い目で見たら、20代はこれから先もずっと投票をしていく世代です。今の若い世代に見放されたら、存続は難しくなる。そういった意味でも、政党や候補者にとって若い世代も大事な有権者だと思います。人数が少ないというだけで悲観的になるのはもったいないし、それが投票に行かない理由にはならないと思っています」
首都圏は、若い世代の人口も比較的多くなっています。
東京都の年代別人口を見てみると、20代は約158万人。60代の人口よりも多く、若い世代の一票も大きな影響を持っていることがわかります。
▼年代別東京都の人口(※日本人のみ)
18〜19歳 約22万人
20代 約158万人
30代 約181万人
40代 約215万人
50代 約190万人
60代 約135万人
70代以上 約244万人(東京都「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」より。2021年1月時点。)
誰に投票するか。参考になるサイトは?
「誰に投票すればいいかわからない」という場合、投票先はどのように決めればいいのでしょうか。
参考になるサイトをいくつか紹介します。
・NHKの全候補者アンケート
一つは、NHKが実施した全候補者へのアンケートです。
コロナ対策や小池都政への評価をはじめ、オリパラ、カジノ誘致、同性パートナーシップ制度など、のべ27項目にもおよぶ幅広い政策について、候補者全員にアンケートを取っています。
自分が住んでいる地域を選択すれば、その選挙区で立候補している候補者の考えやスタンスが一目でわかるようになっています。
・選挙ドットコム
選挙や政治情報を扱う「選挙ドットコム」もおすすめです。
都議選の特設ページが開設されており、政党の公約を比較するページなども掲載されています。
・選挙広報や公式サイト
候補者それぞれの主張を知るためには、選挙広報や、候補者の公式サイトなども参考になります。選挙広報は東京都選挙管理委員会の特設ページに公開されています。
他にも、自分が興味を持っているテーマでそれぞれの党がどんな政策を打ち出しているか見てみたり、候補者の過去の実績や主張を調べてみたりすることも参考になります。
参考データ
(文・生田綾 グラフィック・高田ゆき/ハフポスト日本版)