国会改革を目指す「衆議院改革実現会議」(浜田靖一会長)が6月7日に開かれ、出席した50人以上(代理含む)の超党派の議員が意見を交わした。
オンラインも含めて一部が記者にも公開された会議。冒頭で古川元久議員(国民民主党)は「国会もコロナ禍の中で新しい仕事の仕方を皆さんと一緒に実現したい」と呼びかけた。
続いて、民間企業・省庁で働き方改革コンサルを手掛けてきたワーク・ライフバランス社の小室淑恵社長が民間企業の働き方改革の実例と、霞ヶ関で働く国家公務員を対象に実施した調査結果を報告した。
小室社長は、過去1000社以上へのコンサル実績から、成果の出ない企業には共通点があったとし「日本企業の生産性低下、残業の震源地は霞ヶ関・永田町だ」と指摘。
さらに、2020年〜21年に国家公務員を対象に実施した調査で、約4割にあたる人が月の残業時間が100時間以上と回答、300時間を超えると回答した人もいたと報告した。
そして過労死やうつ・事故を防いで命を守るために、国家公務員法にも労働基準法と同じ主旨の規定を入れるべきと提言。
また、国家公務員の残業時間を増加させる大きな要因は「国会議員への対応」であるとし、国会の質問通告のあり方を変えることや、デジタル化などを進めるといった、議員側が改善すべきことがあると指摘した。
この日の会議で、議員による意見交換部分は非公開だったが、小室社長は「国会の質問通告の『見える化』などには多くの賛同意見があった」と話した。
また、終了後の記者会見で、事務局長の山下貴司元法相は「実際に去年と今年は、国家公務員の志望者が激減している。優秀な若者が霞ヶ関を目指さなくなっているのは大きな損失。国会としてできることをやらなければならない」とした。
また、質問通告に関わる部分は与野党の綱引きになってしまう部分があるとし「客観的に見てどうか、プロの視点で(小室社長に)お話いただきたかった。与党にも反省すべき点があり、与野党で協議していきたい」とした。実際の議論は今年中に行われる総選挙後になる見通しだという。
当初「『平成のうちに』衆議院改⾰実現会議」の名前で小泉進次郎環境相らが主導しスタートしたこの会議は、党首討論の定例化、衆議院のIT化、女性議員の妊娠・出産に備えた代理投票制度導入などを2018年(平成30年)に提言。質問主意書など一部のペーパーレス化を実現した。名前を変えて「令和」以後も活動を継続している。