沖縄県糸満市にある『ひめゆり平和祈念資料館』が、長引くコロナ禍で来館者数が激減し、経営の危機に陥っている。
Twitterで「昨年度は入館者が前年度比86%減となりました。大変苦しい」と、寄付を呼びかけている。
投稿によると、資料館はコロナ収束を見越して2021年度に向けて展示リニューアルを進め、この4月にオープン。だが、コロナの長期化で運営に必要な収入の見通しが立たなくなっているという。
「経済的に厳しい状況は私たちだけではありません」と断った上で、「資料館という場所を大切に、当館の活動を継続したいと考えています」と協力を求めている。
全国の平和資料館の多くは自治体運営だったり、公的補助が入ったりしている。資料館を運営する公益財団法人『ひめゆり平和祈念財団』によると、ひめゆり平和祈念資料館は民間施設で、公的補助はほとんどなく、主に入館料収入で運営費をまかなっている。
コロナ前は年間およそ1億3000万円規模を見込んでいたが、沖縄県は緊急事態宣言が発令中で、開館日もほとんど入館者がいない状態という。
担当者はハフポスト日本版の取材に「土日の休業要請が出ていますが、応じたとしても、十分な補償がないという状態です。この週明けからは(団体利用を見込んでいた)多くの小中学校が休校措置になってしまいました」と話す。
「コロナが長引いて収入源がなくなり、何とか切り抜けないといけない」と迫られて、広く寄付を呼びかけることにした。
資料館のツイートには、寄付の報告や意思をつづる返信もあり、実際に寄付が寄せられ始めているという。
ひめゆり平和祈念資料館は、ひめゆり学徒隊の沖縄戦体験を通して、戦争の悲惨さや命の尊さを伝え、平和への思いを未来につないでいく活動をしている。平和学習の一環として、全国の学校の修学旅行中の訪問先にもなっている。
担当者は「昨年ごろから、来てくれる人たちからは『大事な施設なので潰れてほしくない。続けて欲しい』という声が寄せられています」と、協力を呼びかけている。