斎藤工さん、地方ミニシアターのチケット35回分お買い上げ。「火を消してはいけない」劇場が感謝

俳優兼監督、映画好きで知られる斎藤工さん。コロナ禍の経営で苦しむ名古屋の映画館「シネマスコーレ」をサポートし、反響を呼んでいます。
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斎藤工さん
時事通信社

俳優の斎藤工さんが、名古屋の老舗ミニシアター「シネマスコーレ」のチケットを35回分購入し、コロナ禍の経営で苦しむ劇場を支援した。

シネマコスーレの公式Twitterが5月29日に、斎藤さんの名前が書かれた札を貼った座席の写真を投稿して明らかにすると、「素敵な提案。斎藤さんかっこいい」「やることが粋」など反響を呼んでいる。

斎藤さんは自身のインスタグラムのストーリーに写真を共有し、「もしも行けたら行っていた魅惑の上映ラインナップなのもあり スコーレさんにわがままを聞いて良い席を頂きました ご来場の方 良かったら遠慮なくここに座ってやって下さい」とコメントした。

シネマコスーレの副支配人である坪井篤史さん(@tsuboiatsushi)は、ハフポスト日本版の取材に対し「斎藤さんから目に見えない大きなパワーをいただきました。経営が苦しい状況ですが、『火を消してはいけない』と改めて思うことができた」と語った。

 

コロナ禍のミニシアターを支援してきた斎藤工さん

映画、ドラマ、舞台で活躍する人気俳優であり、映画監督でもある斎藤工さん。映画好きで知られており、ミニシアターへの思い入れも強い。

新型コロナの感染拡大に伴い、映画館が休業に追い込まれた時は、俳優の井浦新さん、渡辺真起子さんらとともに「ミニシアターパーク」を立ち上げ、映画館を応援するキャンペーンを行ってきた。

故・若松孝二監督が1983年に立ち上げた歴史あるミニシアター「シネマスコーレ」。斎藤さんは5月28日、同劇場の副支配人である坪井篤史さんに密着したドキュメンタリー『劇場版シネマ狂想曲 名古屋映画館革命』の公開を記念したオンラインイベントに参加。坪井さんらとトークを繰り広げた。

その中で、サプライズとして斎藤さんから「1週間分、すべての上映作品の座席を1席購入したい」との申し出があった。

坪井さんは斎藤さんからの提案に「思いがけないことで、一瞬頭が真っ白になりました」と振り返る。

斎藤さんはとても劇場のことを考えていらっしゃる人です。個人でできることを考え即行動に移される。そのスピーディな動きにも感激しました

 

「この場所を失いたくない」

該当期間の1週間、同劇場では5作品が上映されるため、斎藤さんが購入したのは35回分となる。その間には、自主制作の作品も上映される。

劇場での売り上げは、配給会社などにも折半される。坪井さんは「斎藤さんの座席購入は、映画館だけではなく、配給会社や作り手をも救うことになるのではないかと思います」と感謝を語った。

シネマスコーレは、感染対策を徹底した上で営業を続けているが、来場者は大幅に減っているという。それでも「映画好きな人が全国から集まるこの場所を失いたくない」という思いで、日々奮闘している。

斎藤さんのチケット購入は、思いがけない反響を呼んだ。

Twitterでもたくさんの応援、コメントがありました。中には『今は行けないけれど、近くのミニシアターのチケットを買って支援したい』というコメントを見た時は嬉しくなりましたね。また、シネマスコーレにも、お客さんから『斎藤さんと同じようにチケットを買ってもいいですか』と連絡がありました」

「斎藤さんのひとつの行動が、いろんな人に影響を与え、いい連鎖が起きている。その状況にとても感激しています。目に見えないけれど、とても大きなパワーをもらいました」