国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、東京五輪開催を実現するためには「われわれはいくらかの犠牲を払わなければならない」と発言。国内で批判が殺到している。
共同通信は、インドのPTI通信による報道としてバッハ会長の発言を伝えた。5月22日に開かれた国際ホッケー連盟のオンライン総会であいさつした際の発言で、「われわれ」に日本人を含める意図があるのかは不明という。IOCは、コーツ調整委員長が緊急事態宣言下でも五輪を開催するという意向を示して波紋を広げたばかりだ。
5月24日、バッハ会長の発言が報道されると、Twitterでは「反発必至」「五輪のため」が日本のトレンド入り。「一線を超えた」など、発言を非難する声が相次いだ。
開催するならば何らかの犠牲は避けられず「ある意味正直」との声もあるが、東京都などに緊急事態宣言が出されている状況での発言に「五輪は人の命を犠牲にしてまですることじゃない」「人命軽視」と強い言葉で批判するコメントも。
また、これまで多くのイベントや学校行事が感染拡大により中止されてきたことから「『いくらかの犠牲』に子どもたちにとって一生に一度の運動会や遠足や文化祭や修学旅行がすでに含まれている」と、五輪を特別扱いするような状況への不満も噴出。
開催されアスリートが活躍したとしても、「陰で人が死ぬような状況では祝福なんてできない」とする声もあった。
野党議員からもこの発言に対する反発は相次いでいる。
朝日新聞デジタルによると、立憲民主党の枝野幸男代表は5月23日、同党の富山県連大会にオンラインで出席。「命を犠牲にしてまで五輪に協力する義務は誰にもない。命を犠牲にしてでも五輪に協力しろなどと迫る権限は誰にもない」と発言したという。
国内ではこれまでも、東京オリンピック・パラリンピック開催に反対する声が高まっていた。
弁護士の宇都宮健児さんが呼びかけた開催中止を求める署名には35万筆が集まり、要望書とともに東京都に提出されている。