「東京オリンピック開催中止」を求める35万筆の署名を都に提出。宇都宮健児さんが会見「救える命も救えない状況」

呼びかけ人の宇都宮健児さんは、記者会見で「世界中の人々が心から歓迎できる環境下でオリンピックをするべき」と訴えた。
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宇都宮健児さん
YOSHIKAZU TSUNO via Getty Images

新型コロナウイルスの感染が広がる中、7月から始まる東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める35万筆の署名と要望書が5月14日、東京都に提出された。

署名活動の呼びかけ人で、弁護士の宇都宮健児さんは、提出後の記者会見で、「世界的にもパンデミックが収束している状況ではないことは明らか。世界中の人々が心から歓迎できる環境下でのオリンピックをするべき」と訴えた。

署名キャンペーンは5月5日からネット上でスタートし、14日午前11時時点で35万筆を超えている。

宇都宮さんは、特に新型コロナの患者対応に追われる医療現場の深刻な状況を強調した。

「東京都は緊急事態宣言下でありますし、重症患者も増大する一方。大阪は医療逼迫というよりも医療崩壊状態が起こっており、入院したくても入院できない患者さんが重症化して在宅のまま亡くなるような状況になっている。救える命も救えない。そういう状況においてオリンピックを開催することは、貴重な医療資源をオリンピックのために割かなければならなくなる」

 

フェアなオリンピック「期待できない」

さらに、宇都宮さんは選手たちにとっても「フェアな環境」で大会が行われるべきとの考えを示した。

感染者数や死者数が急増しているインドの選手が、渡航制限により予選に出場できない事態が報じられている

宇都宮さんはこうした事例のほか、ワクチンの普及状況が国によって差が生じていることに触れ「ワクチン接種が進んでいない国や医療体制が充実していない国の選手は、オリンピックに向けての練習の差が出てくるんじゃないか」と指摘。

パンデミックの状況では、フェアなオリンピックは期待できないんじゃないかと思いますし、世界中の人々もオリンピックを歓迎できる状況ではないのではないか」と訴えた。

日本政府と東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会には後日、今回と同様に大会の中止を求める要望書を提出する予定という。