化粧品大手「DHC」が、公式オンラインショップ上で在日コリアンへの差別的な文章を掲載している問題を受け、高知県南国市が、同社との間で締結していた包括連携協定を解消することを決定したことがわかった。また、熊本県合志市は、連携協定を凍結するという。
在日コリアンへの差別的な文章を掲載
問題の文章は、DHCの公式オンラインショップ上に「ヤケクソくじについて」という題名で掲載されている。吉田嘉明・代表取締役会長の名義で、2020年11月に書かれたものだとしている。
自社サプリの優位性をアピールする文章で、同じくサプリを手掛けるサントリーについて、「CMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です」などと根拠を提示せずに主張。
また、この問題について報じたNHKを名指しし、「NHKは幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系である」などともつづった。
コラムでは在日コリアンへの蔑称を交えた呼称を使っており、問題視する声が相次いでいる。
21の自治体がDHCと連携協定を締結
DHCは、「健康づくりの推進」や「地域活性化」を目的として、全国の自治体との間で包括連携協定を結んでいる。公式サイトによると、2021年4月時点で、21の自治体が協定を締結している。
高知県南国市が協定を解消 「差別を助長する発言を掲載している」
このうち、高知県南国市は、公式サイトに掲載された文章が「差別を助長している」などとして、連携協定を解消する方針を固めた。
同市市民課の担当者によると、市は2017年2月にDHC社と連携協定を締結。年に一度、健康をテーマにしたイベントに協賛してもらうなどしてきた。また、災害時にサプリメントが配送される防災協定も結んでいたという。
この協定について、3月の市議会で中山研心議員(立憲)から疑問が上がり、平山耕三市長が「協定解消も考える」と答弁。なお市議会では、3月以前にもDHC社との協定を問題視する声が議員から上がっていた。
市長の答弁を受け、市はDHC社に対し、公式サイトに掲載されている文章を削除するように電話とメールで問い合わせたという。
その後、 DHC社の担当窓口から「文章を変更するなどの対応はとらない」との回答があったため、4月23日に連携協定の解約を申し入れた。
市の担当者は解約の理由について、「差別を助長する発言を一般の方がアクセスできる公式サイトに掲載しているというところが一番大きな理由です」と説明。
「会長個人の見解とはいえ、オンラインの公式サイトにアップをされておりますので、これは会社としてのお考えであろうというのが市の判断になります」と述べた。
熊本県合志市は連携協定を凍結「市の考えと異なる」
また、熊本県合志市は、問題の文章が掲載されていることを受け、連携協定を凍結することを決めたという。
同市秘書政策課の担当者によると、協定を2017年8月に結んだものの、これまでにイベント協賛など具体的な取り組みはしていなかった。
担当者はハフポスト日本版の取材に対し、「市として人権啓発にも取り組んでいる。発言が市の考えと異なるということもあり、凍結を申し入れました」と話した。同社からは「自治体の判断を尊重する」 と回答があったという。