小中学生ら81万人を「動員」、拒否で欠席扱いは本当?東京五輪の観戦計画、東京都教委に聞いた

出欠について、都教委は「校長が判断」とした上で、「子どもたちの不利益にならないような方向で対応してほしい」と呼びかけている
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東京オリンピック・パラリンピックに関する都の計画では、小中学生ら約81万人が会場で観戦する予定だ(イメージ写真)
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

東京都が、東京オリンピック・パラリンピックの観戦に小中学生ら81万人を「動員」し、拒否すれば「欠席扱い」になるーー?

東京都教委が2020年12月、東京オリパラの児童生徒らの観戦日程に関して出した通知をめぐり、ネット上で波紋が広がっている。

どんな計画で、拒否した場合の「欠席扱い」は事実なのか?東京都教育委員会に聞いた。

 

どんな計画なのか? 都は「動員ではない」

都内の学校は、希望すれば大会の競技を学校ごとに観戦できる。予定では、児童生徒と引率の教員を合わせて計約81万人が会場で観戦するという。

都教委指導企画課の担当者によると、都教委は2020年12月21日付けで、『東京2020大会における子どもの競技観戦にかかる配券・割当案について』との通知を、都内の区市町村教委や都立学校宛てに出した。 

同様の通知は、東京オリパラの開催延期が決まる前にも一度出していたが、大会開催が1年延期されたことを受け、再度学校ごとの観戦日程案を組み直したという。

通知では、観戦日程案のほか、感染症対策のガイドラインなども記していた。

通知を出した2020年12月下旬は、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にあった時期だ。なぜあえて、このタイミングで通知を出したのか?

担当者は、「例年この時期は各学校が教育課程の計画を立てるため、それに合わせて観戦日程に関する今回の通知を出しました。感染が広がりつつあるときに偶然重なってしまいました」と説明する。

都教委はこの取り組みについて、児童生徒らの観戦は「動員」ではなく、あくまで学校の希望を聞いている、と説明してきた。再度認識を尋ねたが、担当者は「動員ではありません」と改めて否定した。

 

欠席扱いは「校長の判断」

新型コロナの新規感染者数は増え続け、3度目の緊急事態宣言が発令されている。こうした状況の中、コロナへの不安などを理由に競技観戦を拒否して会場に行かなかった場合、子どもたちは欠席扱いになるのか?

都教委は「どういった扱いにするかはそれぞれの校長に権限があるため、都から一律で欠席扱いにするということはありません。あくまで校長が判断します」と話す。

その上で「各学校には、コロナの感染拡大の状況や、保護者らの不安なども踏まえ、子どもたちの不利益にならないような方向で対応してほしい」と呼びかけている。「例えば、観戦の代わりに課題に取り組むことで出席扱いにしたり、欠席ではなく出席停止扱いにしたりする、といった対応も考えられます」

ただ、学校側が会場での競技観戦を希望・決定していて、さらに校長の判断で「欠席扱い」とした場合、子どもが半ば強制的に観戦せざるを得ないケースも想定される。

東京オリパラの開催ありきで、子どもたちが無理に観戦を強いられるような事態は避けなければいけない。