「マスターズ・トーナメント」で松山英樹選手が日本人初制覇を決めた瞬間。
解説の中嶋常幸プロと宮里優作プロ、実況のTBS小笠原亘アナウンサーは感極まって、号泣しているようだった。その様子は、この壁がどれほど高いものだったかを物語っていた。
Twitter上では「もらい泣きした」と投稿する人が相次いだ。
最終18番。松山選手がウィニングパットを沈めた直後。
小笠原アナは「ついに日本人がグリーンジャケットに袖を通します」と声を振るわせながら、「日本が招待を受けて85年、ついに、ついに世界の頂点に、松山は立ってくれました」と力を込めた。
優勝を決めた松山選手が、仲間と抱き合うシーンでは、嗚咽し、泣きじゃくる仲間の声が漏れ聞こえていた。
大歓声の中を歩く松山選手。優勝を噛み締めるように、何度も頭を垂れ、瞬きを繰り返し、目頭を拭う様子を見せた。
ここで実況が言う。
「(初出場から)10年の道のりは決して平坦ではありませんでした。大学生で震災を経験し、東北の皆さんが背中を押してくれました」
そしてもう一度。
「10年です」
次の瞬間、ウィニングパットを沈めた優勝の映像に切り替わる。
「ついにアジア人としての、途方のない高い壁と思われていたこのマスターズの壁を、松山英樹はきょう乗り越えました」と、小笠原アナが続ける。
「おめでとう。そしてありがとう」
終始、声を震わせていた。
感想を問われた中嶋プロも、感極まって、声を出せずにいた。「(松山選手が)後半苦しかったから、本当によかったぁ」とすすり泣きしていた。
宮里優作プロも「本当にこんな日が来るなんて」と噛み締めた。時折鼻を啜りながら、「彼の夢に僕らが乗っかっているんですけど、本当に彼はここを目指して、日頃からトレーニングだったり、練習してきたと思うので、本当によかったですし、ありがとうと言いたいですね」と、祝福と感謝を伝えた。