大物コメディアン、アジア系差別ジョークを謝罪。犬食を揶揄し、長年批判されてきた

『ザ・トゥナイト・ショー』の司会で知られるジェイ・レノ氏。発言が誤りだとわかっていても「冗談が通じない人たちは放っておこう」という立場をとってきたと明かした。
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ジェイ・レノ氏(2018年撮影)
Roy Rochlin via Getty Images

アメリカの人気番組の司会者でありコメディアンのジェイ・レノ氏。

著名人が出演する有名トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』などの司会を務めていたことで知られるレノ氏は、アジア系の人たちへのステレオタイプを助長するようなジョークで笑いをとってきたことを謝罪した。

アメリカ国内では、アジア系への差別やヘイトクライムに対する抗議運動が高まっている。

 

韓国の犬食などを揶揄するジョーク

ロイターによると、レノ氏による韓国人または中国人が犬や猫の肉を食べることを揶揄するジョークは、2002年から2012年にかけ少なくとも9件確認されているという。アジア系アメリカ人らがつくる団体Media Action Network for Asian Americans(MANAA)は、2002年からレノ氏に謝罪を求め、その発言を問題視してきた。

2019年には、オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』にゲスト審査員として出演したレノ氏が、番組プロデューサーが犬とともに写った写真をみて、「韓国の食堂のメニューにあるもの」と発言したとVarietyが報じた

これらのジョークはアジアの文化を揶揄し、有害なステレオタイプを助長するとして問題視されている。

「心の中で間違えているとわかっていても…」

レノ氏は今回、MANAAの代表ガイ・アオキ氏と連名で声明を発表。

ガーディアンBBCによると、レノ氏は自らの言動について「謝罪したいと思います」とし、「これはキャンセル・カルチャーの一例などではなく、自分が犯したまぎれもない過ちだと考えています」とコメント。

「韓国人は犬を食べる」としたジョークについては、「私はそれらが無害であると心から思っていた」「敵国である北朝鮮を揶揄するつもりでしたが、多くのジョークがそうであるように、そのジョークは本当のことのようになってしまった」とした。

レノ氏は当時、「どんな時でも苦情を言ってくるグループはいるだろうから、気にとめないで問題ないという感じがあった」と振り返った。

「苦情がきた時の議論には、2つの側面がありました。『これは対処すべきだ』という意見と、『冗談が通じない人たちは放っておこう』という意見。私は、心の中で間違えているとわかっていても、何度も後者の立場をとりました」

MANAAはレノ氏の謝罪を受け入れており、レノ氏は「アジア系アメリカ人のコミュニティにも、私の謝罪を受け入れてくれることを願っています。そして、将来、彼らの期待に応えられることを願っています」とも述べた。

 

ヘイトクライムに「ショックを受けている」

3月16日、ジョージア州アトランタにあるマッサージ店3カ所で銃撃事件が発生し、アジア系女性6人を含む計8人が死亡した。この事件を受け、アメリカではアジア系への差別やヘイトクライムに対する抗議運動が広がっている

The Hollywood Reporterによると、レノ氏はアジア系コミュニティに起こっていることに「ショックを受け、悲しんでいる」と語っているという。

「私の言葉が、この暴力を扇動することに関係しているとしたならば、私は深く傷つき、そして恥を感じます。MANAAの助けを借りて、彼らの傷を癒し、助けとなるために、できることをしたいと思います」