無料チャットアプリ「LINE」で、ユーザーの本名や電話番号などが中国の技術者から閲覧可能だったことなどがわかった問題で、LINEの出澤剛社長は、中国当局への情報提供を義務付ける「国家情報法」などの現地の法体制について「潮目の変化を我々が見落としていたというのが偽らざるところだ」と情報収集体制の不足を認めた。
LINEを巡っては、ユーザーの電話番号や本名といった個人情報が、業務委託先の中国・大連の拠点にいる中国人技術者から閲覧可能だったことが分かっている。
「トーク」と呼ばれるチャット記録もアクセス可能だったが、こちらは暗号化されていたという。情報が保管されていたサーバーにはこれまで32回のアクセスがあったが、LINE側は不適切な事案はなかったとしている。
LINEの出澤社長は3月23日、都内で会見を開き報道陣の質問に答えた。
中国では2017年に、民間企業などに当局の情報収集活動への協力を義務付ける「国家情報法」が施行され、中国にLINEユーザーの個人情報が渡った場合、当局に提供されるリスクが懸念されている。
LINE側はこうした中国の法制度を認識していなかったか、出澤社長はハフポスト日本版の質問に対し「中国での開発を長い間続けていたが、国家情報法というタイミングでの潮目の変化を我々が見落としていたのが偽らざるところかなと思います。言い換えればユーザーへの配慮が足りなかった。実態としてはそういう状況です」と明かした。
その上で、情報収集体制への不足はないか問われると「現状、こういった信頼を失う事態になっていますので、情報収集に対する感度、もちろん情報は入っていましたが、そこに対する手立てがやはり不足していた」と認めた。