豊島区は「生理の貧困」に直面する女性を支援するため、3月15日から防災備蓄用の生理用品を区内施設などで配布する。
金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労している若者の存在がアンケート調査で明らかになっており、こうした状況への対策となる。
「当事者が声を上げづらいのだろう、と気付かされた」
豊島区では1月末、若い女性に対する支援策を検討するプロジェクトを立ち上げ。参加している支援団体から、「(女性から)相談を受けているなかで、生理用品を渡すことがある」という声が上がっていたという。
さらに3月9日には公明党豊島区議団からの要望も寄せられたため、入れ替え時期を迎えていた防災備蓄用の生理用品を活用して配布することを決めた。
男女平等推進センターや豊島区民社会福祉協議会、本庁舎の「女性相談」でそれぞれ配布。さらに、NPO法人と地域団体が実施するひとり親家庭や貧困家庭などを対象とした「としまフードサポートプロジェクト」でも、3月20、21日に食材などを配る際に合わせて各家庭に渡す。配布数は計730パック、2万1900個の予定だ。
担当する子ども若者課はハフポストの取材に「実はこれまで貧困や女性からの相談を受け付ける区の窓口に、生理用品についての要望や困りごとなどは上がっていなかったんです」と話す。
「でも、支援団体にはそういう話があり、調査も出てきた。食べ物などの支援と比べて、当事者が声を上げづらいのだろう、と気付かされました」
豊島区は、2014年に民間研究機関「日本創成会議」が発表した「消滅可能性都市」に東京23区で唯一名を連ねた。若い女性が今後半減し子どもも減ると試算されたためで、その後子どもと女性を重視した施策を展開してきた。
そうした背景も、今回の取り組みにつながったという。
若者の5人に1人が金銭的理由で生理用品の入手に苦労
「生理の貧困」については、若者グループ「#みんなの生理」が3月上旬、SNSで呼びかけて行ったオンライン調査で、金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者の割合が20.1%だったと発表。大きな話題となり、対策を求める声も上がっている。
世界では、生理の貧困への対策を進める国も相次ぐ。
スコットランドは2020年11月、世界で初めて生理用品の無料提供を定める法律が成立。ニュージーランドは、2021年6月から学校で生理用品を無料で提供することを決定した。フランスもこの2月、全ての大学生に対して生理用品を無料で配布すると発表している。
さらにCNNによると、カナダ、インド、オーストラリア、ケニアや、アメリカの複数の州でも生理用品を非課税としている。
日本では生理用品は軽減税率の対象外。「#みんなの生理」では生理用品を軽減税率の対象にするための署名キャンペーンも行っている。