LiLiCoが、樹木希林さんから受け取ったもの。女性をエンパワーメントする映画5選

国際女性デー記念トーク:好評連載 第18回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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Yuko Kawashima

3月8日は国際女性デー。女性の権利と平等について考える世界的な記念日です。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは「女性をエンパワーメントする映画」です。

LiLiCoさんが「我慢が美学だと思いがちな日本の女性にこそ観てほしい!」とオススメする「女性をエンパワーメントする映画5選」とは? 大きな影響を受けたという俳優の樹木希林さんとのエピソードや芸能界の先輩女性たちから受け取った言葉とともに紹介します。

 

「女性は何歳になっても幸せでいる権利がある」 

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Yuko Kawashima

■『また、あなたとブッククラブで』(2018/アメリカ)

夫に先立たれた未亡人、複数との男性との関係を楽しむ経営者、離婚のトラウマに悩む独身管理職、熟年離婚の危機に直面した主婦と、立場が異なる4人の熟年女性を撮影当時平均年齢72歳のベテラン女優たちが熱演。1冊の官能小説をきっかけに花開いていく4人の人生の後半戦の恋、悩み、そして友情の物語。

 

日本人は「もう歳だから」と自分の行動を制限する人が多いですよね。

でも、何歳になっても幸せでいる権利はあります。

『また、あなたとブッククラブで』は、2020年で一番面白かった熟女の応援映画です。イギリスの人気官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を読んで触発され、再び女性として生きようとする4人が最高! 場面が変わるたびに笑えて、ラストは感動できる一作です。

平均年齢72歳の大女優たちがスクリーンの向こうで生き生きとしている姿にも、勇気をもらえるはず。

例えば、未亡人のダイアンが新しい恋人と旅行に行ってしまって、ダイアンの娘が「お母さんが行方不明になっちゃった」って青ざめるシーン。たとえ周囲がおばあちゃん扱いしても、彼女たちは「まだまだできることはある」って思っているんですよ。

ドキュメンタリー映画『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』(2014/アメリカ)もぜひ観てほしいな! 62歳から95歳までのニューヨーカー・マダムがファッションやメイク、人生を自分たちらしく生きる姿に勇気をもらえるはずです。

 

「見た目で自分を表現することは大事」

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Yuko Kawashima

■『グリース』(1978/アメリカ)

高校生2人の恋模様を描いた学園ミュージカル。不良グループに所属するダニーをジョン・トラボルタが、真面目な女子高生サンディをオリビア・ニュートン・ジョンが好演。互いのために自分を変え、アイビールックに身を包んだダニーとセクシーにイメージチェンジしたサンディが歌い踊るラストシーンは、さまざまな映画でオージュされている名シーン。

 

『グリース』は、私のルーツとも言える一作。初めて観たのは、8歳のときです。真面目で控えめなサンディが、外見も内面も少しずつ強くなっていくのに心惹かれました。

衝撃を受けたのはラストシーン! 真っ赤なリップと濃いメイク、黒いエナメルの革ジャンにスリムパンツ、ハイヒールで、かっこよく堂々と「私のこと、待った? ベイビー」とささやくサンディに、「これがイケてる女なんだ!」と。

見た目で自分を表現することは大事ですよね。少し前、赤リップが私のトレードマークだったけど、それは身も心も強くありたい、サンディのようにイケてる女性になりたいという気持ちの表れだったのかもしれません。

ジョン・トラボルタの絶頂期に製作されたこの映画は、音楽も最高! 映画だけでなくサントラもよく聞き返します。

 

「自分の意見を言う勇気がある人は、一番のヒーロー」

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Yuko Kawashima

■『セックス・アンド・ザ・シティ』(2008/アメリカ)

ニューヨーカーのリアルな恋愛を描いた大人気ドラマシリーズ(1998~2004年)の映画版。コラムニストのキャリー、PR会社社長のサマンサ、結婚を切望するシャーロット、弁護士のミランダの4人の女性の等身大の姿と友情に、世界中の女性が熱狂。※2021年に続編の制作が発表されたが、サマンサ役のキム・キャトラルは不参加。

 

ドラマも映画も大好きで、特に性に奔放なPR会社社長のサマンサがお気に入り。映画のプロモーションでサマンサ役のキム・キャトラルにインタビューできたときは、大興奮でした。

1月にドラマシリーズの続編が発表されたとき、キムは不参加だと報道されました。かねてからキムとほかの3人との不仲は噂されていて、そのせいで映画の第3弾が製作できなかったともいわれていますね。

きっとキムは、みんなが「イエス」と言っているときに、批判を恐れず「ノー」と口にしたのでしょう。

私は、自分の意見を言う勇気がある人は、一番のヒーローだと思うんです。それは、自分以上に他人を大事にしている証拠だから。

私がハッキリと意見を言うのも、誰かを傷つけないため。

人はそれぞれ好き嫌いが違って当たり前。素直に意見を言い合い、互いを尊重しあいながら付き合っていく方がいいと思うんです。

 

「売れてよかったわ」樹木希林さんから受け取ったもの 

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Yuko Kawashima

■『ツナグ』(2012/日本)

一見するとごく普通の男子高校生・歩美(松坂桃李)は、大切な人を亡くした者と死者を一度だけ再会させる仲介人「ツナグ」になる見習い中。祖母アイ子(樹木希林)からツナグを引き継ごうとしているが、死者との再会を望むさまざまな人と出会うなかで、自身の行為に疑問を抱くようになる。人と人のつながりと生死を見つめたヒューマンドラマ。

 

 

祖母のアイ子を演じた樹木希林さんは、私にとって特別な人。なかでも思い出深いのが「ツナグ」のインタビューです。

映画にちなんで「もし死後に会えるとしたら、誰がいいですか?」と質問したら、希林さんは「死んだら戻ってきたくないから、誰にも会いたくない」と言い切ったんです。続けて、「ありがとうと思ったらすぐ言うし、言い過ぎたと思えばすぐ謝る」と答えていて、その通りだなと思いました。

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Yuko Kawashima

私、中学校の歴史の先生に感謝を伝え損ねたことがあるんです。

アル中で酒臭いし、授業もつまらないし、もともと彼のことは大嫌いでした。でも、9年生(日本では中学3年生)の卒業記念でミュージカルをやったとき、わたしはソロで歌わせていただいて、終演後に誰より早く私のところに来て、彼は言ってくれました。

「あなたは芸能界に行く人なんだね」

この一言は、長く私の心の支えになってくれました。だから、ずっと「日本で芸能人として売れたらお礼を言おう」と考えていました。でも、やっと売れて連絡先を調べていたら、その前の年に亡くなっていたことがわかったんです。

すごく後悔して、私もそれ以来「すぐ行動する」を心がけてきたから、希林さんが同じことを話して感動したんです。

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Yuko Kawashima

あるときは、希林さんがインタビュー後に「あなたはまともなこと言うけど、見た目も派手で日本の芸能界は難しいかなと思っていたけど、売れてよかったわ」とおっしゃって……。

希林さんが、私のことを売れていないときから見守ってくれていたと知り、うれしくて大号泣してしまいました。

希林さんといえば、マネージャーやスタイリスト、ヘアメイクをつけずに活動していたことでも有名ですよね。実は、私が自分でマネジメントや衣装、メイクをしているのは、希林さんの影響でもあるんです。

希林さん以外にも、年上の女性芸能人からは、たくさんの勇気を受け取っています。

「50歳になって毎日が楽しい」と話したら、「それはいい生き方をしてきた証拠」と話してくれた小林幸子さん。すごくうれしかった!

面識もないのに、映画関連のパーティーですれ違ったときに「いいね!」と親指を立ててくれた桃井かおりさん。あの言葉で3年は生き延びました。

日本の女性のみなさん、すてきな先輩たちに負けないように、私たちも明るく楽しんで歳を重ねていきましょうね!

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タレントのLiLiCoさん
Yuko Kawashima

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり)