中国のネット通販最大手・アリババグループは2月2日、2020年10月〜12月期決算を発表した。総売上高がおよそ2210億元と昨年同期比で37%増加するなど好調さをうかがわせたが、一方で、中国当局による急速な規制強化の影響は示せなかった。
■「影響、評価できない」
アリババが2日夜発表した内容によると、総売上高は2210億8000万元(約3兆5370億円)と前年同期比で37%増加し、純利益は52%増の794億元(約1兆2700億円)だった。期間中の11月11日に開かれた「独身の日」セールでは、集計期間を長くしたものの、流通総額が日本円で過去最高の約7兆7000億円にのぼった。そのほかクラウド事業でも成長をアピールした。
一方で、2020年11月ごろから始まった中国当局による締め付けの影響は具体的には示せなかった。
アリババの張勇(ダニエル・チャン)会長兼CEOは「皆さま関心をお持ちだと思いますが」と自らこのことに触れ、20年12月に公表された独占禁止法違反の調査が現在も継続中であることを明かした。その上で「社内で専門チームを立ち上げ、調査に積極的に協力している。終了後に市場に最新の状況を提供したい」と述べるにとどめた。
さらに、傘下のフィンテック企業「アント・グループ」の上場が延期になったことについては「フィンテックをめぐる規制環境が変化し、今後の業務と上場計画の不確実性は高い。グループ全体への影響は正確に評価できない」と話した。
■1から振り返る、アリババ規制
アリババへの規制が強まったのは2020年11月ごろからだ。
11月には傘下「アント」が上海と香港への重複上場を予定。340億ドル(約3兆6000億円)を調達するとみられていたが、突如中止に。背景には、10月24日にアリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏が上海のイベントで金融当局に批判的なスピーチをしたことがあるとみられている。
その後、規制の手はアリババ本体にも及ぶ。12月14日にはアリババが過去に実施した百貨店チェーンの買収が独占禁止法違反にあたるとして罰金処分となった。この際、政府当局は記者会見で「インターネット企業だからとって、独占禁止の法外の地にあるわけではない」と規制強化に含みを持たせていた。
さらに12月18日には、中国共産党の重要会議、中央経済工作会議が「独占禁止強化と資本の無秩序な拡大の防止」を2021年の重要任務に据えると、6日後の24日には、政府当局がアリババに対して独占禁止法の疑いで調査に入ったと公表された。
ほかにも、IT企業・テンセントの資本が入った通販プラットフォームも行政から「不当競争」の疑いで調査を受けている。