ユニクロ率いる柳井正氏「地球は今の世代で終わってしまうかも」。サステナビリティ戦略を発表

大量に作って売るファッション業界のサイクルについても踏み込んだ発言。「地球環境に対してかなり負荷を与えているので、それをできるだけ少なくしていく」
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オンライン記者会見するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長
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ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は2月2日、記者会見で「全世界の人、企業が、人類全体の将来を考えて行動しなければならない」と語り、サステナビリティへの取り組みを強化する方針を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大の世界的な影響について、柳井氏は「グローバルの人の往来が止まり、各国の経済が停滞。世界の大国の間で政治的・経済的対立が激化し、そのことがビジネスの現場にも深刻な影響を与えている。まさに危機的な現状だと思う」と指摘。

このような状況下で必要なことは、「世界中の個人や企業がポジティブに考えて、すぐに行動し、力を合わせてピンチをチャンスにする」ことだと述べた。

さらに、「このままでは地球は今の世代で終わりになってしまうかもしれないと考えている。そうならないためには、全世界の人々、企業が、人類全体の将来を考えて、経済活動はどうあるべきか、地球環境はどうあるべきか、自分のビジネスはどうあるべきか、本当に真剣に考えて行動しなければいけない」と訴えた。

この日は、サステナビリティに関するビジョンや最新の取り組みをまとめた「サステナビリティレポート 2021」も発表された。

同社は20年後を見据えた取り組み目標として、今後は各国の店舗・オフィスで再生可能エネルギーの導入を進めるとしている。

温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指し、サプライチェーンやオフィス、店舗が取り組む具体的な取り組み目標を2021年内に定める。 

柳井氏は「サステナブルであることはすべての前提である」とした上で、「会社の存在そのものが社会をよりよくする会社になるために、我々は本気で行動することをお約束します」と強調した。

 

「大事なのは、気に入った服を長く愛用すること」 

ファッション産業は「世界第二の環境汚染産業」とも称される。 

世界のアパレル企業が近年、経営戦略としてサステナビリティに関する取り組みを強化する中、ファーストリテイリングでも、回収したユニクロのダウンから作った「リサイクル ダウンジャケット」や、水の使用量を最大96%削減したジーンズなど、環境に配慮した取り組みを行ってきた。

柳井会長はさらに、大量に作って売るーーというファッション業界のサイクルについても変化の必要性に踏み込んで言及した。

「(ファッション産業は)地球環境に対してかなり負荷を与えているので、それをできるだけ少なくしていく。一番大事なことは、自分の気に入った服を長く愛用するということ。今年買った服が去年、2年前に買った服に合うことなんじゃないか」と指摘。

「そういうことを、小売業、ファッション産業と一緒にやっていきたいと考えている」と語った。