池袋暴走事故で妻子亡くした男性ら「裁判参加のための休みを」。田村厚労大臣宛に要望書

被害者参加制度による裁判参加を目的とした特別休暇制度の義務化を求めている。
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要望書(要旨)
Rio Hamada / Huffpost Japan

池袋暴走事故など交通事故で家族を失った関東の遺族会が2月1日、被害者参加制度による裁判参加を目的とした特別休暇制度の義務化を求めて、田村憲久厚生労働大臣宛の要望書を提出した。

提出したのは関東の遺族会「あいの会」。池袋暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さんも、メンバーに名を連ねている。

要望書は、被害者らが被害者参加制度を利用する際などに、有給休暇とは別に、勤務先から特別休暇を取得できる制度を義務化するよう法改正を求めている。

現行制度では被害者参加制度に対する特別休暇について明確なルールは設けられておらず、厚労省は付与するよう勧めているが、企業の判断に委ねられている。そのため松永さんは、裁判に参加する度に有給休暇を取得しているという。

要望書は「被害者が刑事裁判に参加することは、事件に一区切りをつけて新たな生活を始め、権利利益を回復するため、必要不可欠な制度です」と強調している。

2005年の第1次犯罪被害者等基本計画では、「犯罪被害者は、精神・身体的被害によって、仕事能率の低下や対人関係への支障が出たり、治療・通院や裁判出廷などで欠勤したりすることになるが、雇用主や職場の知識の欠如・無理解で仕事をやめざるを得なくなる場合が少なくないとの指摘がある」という見解を示している。

当時の計画では、厚労省が休暇制度の導入について調査し、1年以内に結論を出すとしていたが、現在も状況は変わっていないという。

要望書はこうした点に触れて「被害者は離職する人が多く、運良く再就職できたとしても、理解のある職場を探すのはとても困難な実情にあります」などと説明。「被害者が、安心して裁判に参加できるよう、雇用主が特別の休暇制度を与えることを義務とする制度を創設してほしい」と訴えた。

厚労省を訪問した「あいの会」代表の小沢樹里さんは、「交通事故だけでなく、他の多くの犯罪被害者の回復の一助となるよう、制度について企業や多くの人に知ってもらいたい」と述べた。