「文化芸術だけではなく、みんなが大変。等しく手を差し伸べて」 演劇・映画・音楽団体が新たに署名を開始

演劇・映画・音楽業界の垣根を超えた取り組み。公的支援や、文化芸術への思いを募る署名とアンケートが始まりました。
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演劇・映画・音楽業界の有志団体が、文化芸術業界への公的支援を求める新たな署名キャンペーンを始めた。

文化施設や事業者に対する減収に応じた補償や、フリーランスへの支援の拡充を求めており、集まった署名は菅義偉首相と麻生太郎財務大臣に提出するという。1月28日に発起人らが記者会見を開いた。

 

減収に応じた補償とフリーランスへの支援を

署名活動をはじめた「#WeNeedCulture」は、コロナ禍を受け演劇・映画・音楽関係者が共同で立ち上げたプロジェクトだ。

ミニシアターの支援を主に行う「SAVE the CINEMA」、ライブハウスやクラブなどでの休業に伴う補償を求めるプロジェクト「SaveOurSpace」や「#SaveTheDance」、それに演劇界への公的支援を求める「演劇緊急支援プロジェクト」などが参加している。

これまでも署名キャンペーンなどを行なっていたが、新たに立ち上げたアート・カルチャー・エンターテインメントを愛するすべての方への署名とアンケートのお願いで求めるのは、《①文化芸術団体および文化芸術施設に対する、事業の減収の程度に応じた補填》と、《②フリーランスに対する、持続化給付金に代えた、より煩雑な手続きを伴わない給付金の支給》の2点だ

政府はこれまでに、イベント中止で発生した経費を補助する「J-LOD live補助金」のほか、中小事業者に対する一時金や補助金制度などを発表している

しかし、#WeNeedCultureの活動に関わる弁護士の馬奈木厳太郎さんは、「事業の規模や減収の程度に応じた補填」が必要だと指摘。

業界内の多くを占めるフリーランスへの支援が不十分だとし、フリーランスも対象とした給付金制度も求めた。 

また、「自身の生活の中で、アート・カルチャー・エンターテインメントは必要不可欠なものか、なぜそう思うのか」などの質問も受け付けており、文化芸術を必要とする人の声を集める趣旨もあるという。

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<左から>加藤梅造さん(ロフトプロジェクト社長)、馬奈木厳太郎さん(弁護士・プロデューサー)
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ライブハウスの6割が「半年以上の運営を見通せない」

団体が実施したアンケート調査では、長引く自粛が文化芸術業界に与えている深刻なダメージが浮き彫りとなった。

「SaveOurSpace」が1月上旬にライブハウス関係者などを対象に行なった調査によると、7割のライブハウスやクラブで音楽関連事業の収入が50%以上減少した。6割が「半年以上の運営を見通せない」という厳しい経営状況だという。

また、俳優や声優、劇作家や演出家など文化芸術に関わる人にコロナ禍の影響を聞いた調査では、5242人のうち、57.7%が「新しい仕事の依頼が減っている」と回答。「まったくない」と答えた人は31%にも上った。

そんな中で発令された2度目の緊急事態宣言は、業界にさらなる打撃を与えている。

ライブハウスの新宿ロフトや下北沢SHELTERなどを運営するロフトプロジェクト社長の加藤梅造さんは、多くのライブハウスやクラブが夜の営業をできず、実質休業状態になっていると報告した。 

 

「文化芸術だけではなく、みんなが大変。等しく手を差し伸べてほしい」

登壇者が強調していたのは、文化芸術関係者だけを補償してほしいと訴えているわけではない、ということだ。

加藤さんは、「文化芸術だけではなく、みんなが大変。飲食業も旅行業も、生活されている方みんなが大変な状況で、文化芸術だけを何とかしてほしいと言っているつもりはない」と説明。「じゃあなぜ言うのかというと、文化芸術は我々の生業で、生き死にに関わること。追い詰められた状況で言うしかない」と話す。

馬奈木さんは、「文化芸術『だけ』が困窮しているわけではない。文化芸術『も』困窮している。メンタルに影響が出ている人が多いというアンケート結果は、文化芸術の分野『でも』出てきているということ。他の分野でもたくさんいらっしゃる」と強調。

「文化芸術にも等しく手を差し伸べてほしい、補償なるものを享受する権利はあるだろう、ということを求めています」と訴えた。

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<左から>スガナミユウさん(ライブハウス「LIVE HAUS」店長)、Naz Chrisさん(一般社団法人 JDDA 理事・クラブとクラブカルチャーを守る会)、瀬戸山美咲さん(劇作家・演出家)、吉田明子さん(日本児童・青少年演劇劇団協同組合 代表理事)、加藤梅造さん(ロフトプロジェクト社長)、馬奈木厳太郎さん(弁護士・プロデューサー)、映画監督の西原孝至さん
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